2021 Fiscal Year Research-status Report
手書き入力漢字自動採点システムの運用拡充と試験への適用
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20K03109
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Research Institution | Gifu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
井戸 伸彦 岐阜協立大学, 経営学部, 准教授 (30340061)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 手書き入力文字 / 学習支援システム / 自動採点 / パターン認識 / 漢字 / e-ラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
・2021年度は、コロナ禍の影響で手書き入力漢字自動システムの実用運用が前年度に続き思うように実施出来なかった。これを受けて、自動採点で用いる採点情報の作成作業を主に行った。採点情報は漢字ごとに作成するものであり、作成に当たっては教育漢字/常用漢字/JIS第一水準といった区分けで実施している。2020年度までは報告者が担当する授業の宿題として出題する問題に現れる漢字(約100文字)を対象としてシステム開発を行っていたが、2021年度は一般的な出題に対応する漢字を扱う段階に進んだ。 ・具体的には2021年度中に、教育漢字の第1学年(80字、2021年3月中旬~2021年6月初旬)、第2学年(160字、2021年6月初旬~2021年11月初旬)、第3学年(200字、2021年11月初旬~2022年2月中旬)、第4学年(途中まで40字、2022年2月中旬~2022年3月末)の漢字の採点情報の作成を行った。採点情報の作成は初歩的な漢字ほど労力が必要であり、いわゆる”難しい漢字”は多くの場合に初歩的な漢字の組み合わせとなって効率良く作成出来る(2022年度の作成作業はより効率的になる見込みである)。 ・採点情報作成に並行して、機能追加/改善も実施した。主な機能追加/改善の項目は、(1)余分な画/不足する画がある場合のその画の同定機能、(2)画の対応付け機能における部首情報の利用、(3)採点情報のリンクによる参照/適用機能の3つである。上記のうち(1)について今後学会発表予定である。 ・システムの運用に関しては、コロナ禍の影響で遠隔授業となったり、また、警戒レベルの変化に伴い接触が不可避な共有タブレットの使用を控えたりしたことで、後期の授業の1回分の宿題にて十数人分について実施したのみとなった。このため、システム性能や実用性を評価する系統的な実施までには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
手書き文字自動認識システムの研究が手で触れてタブレット端末に書き込む操作を前提としたものであることより、コロナ感染症の影響で実用システムの運用やデータ収集などのフィールドでの活動機会が昨年度同様制限された。一方、当初考えていたよりも時間が必要となることが判明した採点情報の作成については、フィールドでの活動の代りに時間を費やすことが出来て、一定の進展があった。 数多くの漢字に対応した採点情報を作成することは大きな工数を要するが、完全な実用化に向けて乗り越えなければならない過程であり、覚悟を以て取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
採点情報の作成に関しては、(1)最も困難が伴う初歩的な漢字についての作成が進んだのでこれらを組み合わせる今後の作業は効率アップが見込めること、および、(2)採点情報作成システムでの作成作業の効率を向上させるための機能追加(継承関係を遡って表示させる機能、採点情報中にデバッグ情報を埋め込む機能)とツール(XMLで記述された減点情報のパラメータ等をソートして整列させた見やすい一覧として表示するツール)の作成を既に行っていることより、今後の進度は向上すると考えている。 また、勤務する大学でも2022年度以降は基本的に対面授業となることより、実質的に中断していたシステムの実用運用やデータ収集についても進展する見込みである。 課題としては、タブレットでの手書き文字入力の一時データであるポリラインをベジェ曲線で近似する機能のリファインが必要であるが、これについての評価を行うためのツールは作成済みである。 開発する手書き入力漢字自動採点システムでは、報告者が提案した「順序距離」と呼ぶ手法を用いてるが、これの数学的な意味付けについても検証プログラム等の作成を開始した。代数系・位相・グラフ理論等に関わると想像されるため、基本的な知識の確認も並行して行っている。
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Causes of Carryover |
2021年度はコロナ禍の中でシステムの実用運用やデータ収集が制限されたため、採点情報の作成に注力した。経年劣化した従来使用のタブレット端末の更改として購入したiPad、および、システム開発用として購入したLinuxPC以外は、データ収集や学会活動等での使用を含め、助成金活用の機会を得なかった。 採点情報の作成が想定よりも大きな工数が必要であることが判明したことを受けて、2022年度はこれを進めるために助成金を使用して行く予定である。具体的には、採点情報の正しさを検証するための試料収集の拡大と、試料入力者に入力だけでなく採点結果についての簡単な判定(ex.採点結果に異議がある)も依頼することとを考えている。なお、報告者に代わって国語の専門家などの第三者に採点結果のチェックを依頼することも模索していきたいが、これにはシステム仕様の理解も必要となり、現状では適当な人がいない状況である。
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