2020 Fiscal Year Research-status Report
博物館での体験を評価・視覚化する手法の提案と汎用化
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20K03111
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
政倉 祐子 愛知淑徳大学, 創造表現学部, 准教授 (60468915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 尚樹 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (40254586)
田邉 里奈 千葉工業大学, 先進工学部, 准教授 (50386786)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 体験の評価 / 学びの評価 / 主観評価の視覚化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、博物館などの展示施設での来館者の体験を主観的な印象の変化として捉え評価するための手法について、①来館者の観覧ルートに沿った体験について時間軸での変化として捉えることにより、展示施設の入口から出口までの傾向を把握すること、②評価結果が即時に来館者自身にもフィードバックできるよう視覚化し、来館者が学習後の振り返り材料等として活用可能とすることを目指している。当初計画では、評価データを蓄積しつつ、評価・視覚化ツールのアプリケーション開発を行う予定であったが、目的①②ともに、新型コロナウィルス感染症の影響により、予定していたプログラムをすべては実施することができなかった。評価データの蓄積に遅延が生じてはいるものの、令和2年度は2回のプログラムを実施し、以下の成果を得た。 10月に実施したプログラムでは、札幌市円山動物園での評価を行い、観覧計画や来園経験の違いによる主観的な印象の傾向の違いをとらえた。今後も来園者向けのプログラム実施が困難となることが考えられることもあり、2月に同動物園で実施したプログラムでは、目的②について次のような発展的検討を行った。試作済みの評価アプリケーションを用い、特定のテーマ・目的をもって動物園内の体験を楽しむための複数のガイドマップを対象に、制作者が来館者に期待する主観評価と、ガイドマップを手に実際に観覧した第三者による主観評価をそれぞれ行った。ガイドマップの制作者と、来館者を想定した第三者の評価結果を比較分析することにより、制作者の意図した仕掛けが効果的であったことや、効果的でなかった場合の改善点や問題点を制作者にフィードバックすることで、動物園での新たな楽しみ方や、展示施設としての活用の提案につながるガイドマップ制作に有用であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、評価分析・結果の視覚化手法の検討を行うためのプログラムを2回実施したものの、新型コロナウィルス感染症の影響により、幾度か計画したプログラムのほとんどを中止せざるをえなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度以降は、当初目的である①評価手法の改善や、②評価結果の視覚化・フィードバックを行う方法について検討を引き続き行うが、新型コロナウィルスの感染状況によって影響を受けることが想定されるため、次の方策により進めることとする。 評価データの蓄積を要する①に関しては、コロナ禍の状況に応じてプログラム・評価の実施を都度判断し検討を進める。②に関しては、前年度に実施したガイドマップ制作に関する評価分析の事例を参考に、評価結果のフィードバックを円滑に行うための評価アプリケーション・視覚化ツールの開発を中心に進める。
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Causes of Carryover |
(理由)本研究では、評価事例・データの蓄積をもとに、評価分析および結果可視化のためのアプリケーション開発を行うが、令和2年度は、新型コロナウィルス感染症の影響により、評価のためのプログラムを2回のみ行うに留まらざるを得なかった。そのため、評価のためのプログラムの実施回数も当初予定より少なく、また、アプリケーション開発を年度末までに行うことができなかった。そのうえ、打ち合わせや対外発表、プログラムへの参加も遠隔としたものがあったため、1,084,012円の繰越金が発生した。 (計画)令和3年度は、可能な限りプログラムの実施を実現することに加え、前年度から予定が遅れているアプリケーションの開発を積極的に行う予定である。プログラムの実施を当初予定に加えて1回分(打ち合わせ、実験調査にかかる国内旅費、教材開発、プログラム補助謝礼にかかる人件費・謝金)、アプリケーション開発についても、当初予定の1回に加えて、前年度から開発が遅れている1回分を使用する計画である。
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Remarks |
・2020年度 円山動物園わくわく動物園マップ実施報告書、2020年10月24日実施 ・2020年度 円山動物園 第2回わくわく動物園マップ実施報告書、2021年2月15日実施
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