2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K03127
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| Research Institution | Aomori University |
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Principal Investigator |
佐藤 昌泰 青森大学, 薬学部, 准教授 (60382579)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大越 絵実加 青森大学, 薬学部, 教授 (10287667)
水谷 征法 青森大学, 薬学部, 講師 (60594851)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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| Keywords | 学生エンゲージメント / 薬学教育 / 教育の質保証 / 教員の実践的指導力 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
教員から学生への、対話による動機づけプロセスから生じる情緒的エンゲージメントが、薬学教育におけるアウトカム基盤型教育の質保証を担うと考えた。本研究では、学生エンゲージメントを促すための「教員による関与」と「学生の心理的発達」の2つに焦点を当てる薬学教育プログラムの構築を目指している。
【具体的内容】2022（R04）年度は、教員による教育的介入として学生には、持続可能な社会の実現に向け、「ESD（持続可能な開発のための教育）」を考慮する課題を提示した。学生は、前年から取り組んでいる「SDGs活動」「ものづくり」を踏まえて、中学校・高校の生徒それぞれの学びを意識したものづくりESD教材の開発を試みた。更に中学・高等学校と連携し、中高生を対象としたESD教材の実践的検証を行った。教員は、これらの活動をまとめた研究成果について、学生に学術大会での情報発信を促した。積極的に取り組む姿勢が見られる学生達の中で、アウトカムである「薬剤師の資格取得」に加え、卒業後に薬系の大学院進学を選択する「学習意欲の継続」を引き出した。
【意義】持続可能な地域社会を築く地方創生という観点から、学生が考えるSDGs教育が、地域社会と連携して展開されることを期待した。アウトカム基盤型の薬学教育において情緒的エンゲージメントが、資格取得を可能にし、その先にある未来の学習意欲につながることを示唆した。
【重要性等】学生を中心として様々なステークホルダー（大学、企業、行政、中学・高等学校）が地域課題を共有し、解決に向けて主体的・協働的・一体的に取り組む「地域プラットフォーム」モデルの基盤を構築する。様々な分野で活躍できる質の高い人材育成を目指した「学生の心理的発達」に対し、実践的指導力を備えた教員を養成することが情緒的エンゲージメント手法の成功を握ると考えた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
１～４の実施状況から、この判断とした。
１．【教材開発】前年度に引き続き、教科横断型の教材開発は、SDGsの達成及び「持続可能な社会の創り手」の方針が組み込まれた文部科学省の学習指導要領を参考にした。地域の文化財と日常生活における様々な事象をSDGsの目標に結び付けて捉えなおし、持続可能な開発に対しての意識と行動を啓発する取組を含む教材を作製した。この活動は、天然記念物を所有する平内町や、青森県の行政と連携した。
２．【官学→産学官連携】前年度から取り組んでいる「ものづくり」について、SDGsの趣旨に賛同した県内企業から連携協力の申し出を受けた。このため、官学から産学官の連携に発展した。大学が、平内町と県内企業のパイプ役となり、高校生と取り組んでいるツバキ素材の採集を共同で実施した。平内町は、文化庁の許可を得て、所在する国の天然記念物であるヤブツバキの種子を採集し、発芽に成功した。学生は、そのヤブツバキ苗の1ヶ月毎の生育調査を行った。
３．【高大→中高大連携】コロナ禍の影響により、開発した教材を実践する機会の中止・縮小を余儀なくされた。しかし、できる限りの感染対策を行ったうえで、開発した「ものづくり」教材について小規模の対面開催を実施した。試作段階の開発教材は、中学・高等学校と連携し、地元の中学生・高校生に対して試験的に実施した。
４．【学生の心理的発達】学生は、どのような「教員による関与」を経て主体的な学習活動に至るのか。本研究の活動を通し、飛躍的な発達が見られ、薬学部卒業後に博士課程に進学した学生を追跡している。この学生とは別にさらに1名、博士課程へと進学した。教員から学生へ、そして学生同士での、対話による動機づけプロセスから生じる情緒的エンゲージメントが、課題努力、協働性や自己研鑽に関わる「心理的発達」を促し、「行動・実践」につながる「学習意欲の継続」へと発展した。
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| Strategy for Future Research Activity |
「教員による関与」と「学生の心理的発達」の2つに焦点を当てる薬学教育プログラムの構築を目指している。
教員が、積極的に学生に介入し、様々な研究活動の成果を学術大会で情報発信するよう促した。指導した学生が日本薬学会第142年会（名古屋）学生ポスター賞を受賞し、卒業と同時に薬剤師の資格を取得、前年度の大学院進学者に続き、博士課程に進学した。情緒的エンゲージメントを介した「教員による関与」は、学生に「共感・理解・自信」という見えない自己の価値を認識させた。その結果、アウトカムである「薬剤師の資格取得」のみならず、大学院進学という「行動・実践」および、認知的な「学習意欲の継続」につながる心理的発達を導いた。本研究を遂行する上での課題として、情緒的エンゲージメントの手法が[教員の資質能力]に強く依存することが挙げられる。教員自身が高い志で自ら研鑽することの重要性が改めて認識された。質の高い人材を輩出する教員の教育プロセスを批判的に考察し、評価できる体制整備が必要である。将来的には、学び続ける教員を支えるキャリアシステムの整備も重要となる。次年度は、自己探究の力量形成を高める教員の姿勢が、学生の成長/発達を促す教育プロセスとアウトカムにどう反映するか、つながりを意識しながら研究を遂行する。
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| Causes of Carryover |
コロナ禍とウクライナ侵攻により、急激に進んだ全世界的な物価上昇から国際商品の高騰など影響を受けた。2022年に入って円安が加速し、国外の取引先からの商品の調達・仕入れの価格が、想定予算内で収まらない不測の事態が発生した。物価高・円安の影響は、消耗品以外にも及び、予定している英文校閲費や論文投稿費のため、使用額の一部を次年度へ繰り越すことにした。2022年度は、研究打合わせ及び国内の学会発表の旅費を計画していたが、コロナ禍の影響で、一部オンライン開催となった。そのため旅費として計上していた当初の予算を見直し、postコロナを想定した教材開発の消耗品に計上した。コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、次年度は、連携先と状況を確認しながら計画を遂行する。
「教員による関与」として学生に教育的介入を続け、様々な分野で活躍できる質の高い人材育成を目指した「学生の心理的発達」を伸展させる。課題として学生には、産学官・高大連携を意識し、地域の特色を生かした「SDGs活動」「ものづくり」を踏まえた教育教材の開発を提示する。開発した教材の評価データ収集のため、教材の実践的検証は、できる限り対面形式での実施を進める。引き続き教員は、学生らに対し、得られた研究成果の情報発信を促していく。
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| Remarks |
(１) ATV青森テレビ 公式チャンネルYou Tube わっち!! 2022年5月4日放送
(２) 出版社：青森県エネルギー総合対策局 [政府刊行物；地方公共団体刊行物］
(３,４) 青森大学付属総合研究所刊行物、(５) 青森大学公式HP薬学部NEWS
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