2021 Fiscal Year Research-status Report
状態遷移モデリング学習を支援する学習者向けフィードバック自動生成手法の研究
Project/Area Number |
20K03146
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小形 真平 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (10589279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香山 瑞恵 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (70233989)
岡野 浩三 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (70252632)
槇原 絵里奈 同志社大学, 理工学部, 助教 (90822875)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ソフトウェア工学教育 / モデリング / 教育支援 / ステートマシン図 / 躓き検出 / 差分解析 / ログ解析 / 視線情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,状態遷移モデリングの教育において,妥当なモデルを導けずに躓いている学習者にその対処方法がわかるようフィードバックを自動生成する方法を確立するため,次の3課題を達成すべく研究を計画している.(1)学習者の躓きを自動検出するために,モデルの編集ログを記録して分析する方法を確立し,学習者の躓いている状態を的確に指摘できることを実証する.(2)モデルの誤りを特定するために,答案と解答例・課題文を比較する方法を確立し,作業時間と誤り指摘精度が総合的に従来に比べ有効であることを実証する.(3)フィードバックの自動生成・提示方法を確立し,モデリング課題の特徴ごとにフィードバックが有効に機能する条件を調査する. 課題(1)に対し,モデリングにおいて,編集回数や編集時間に加えて,視線情報を考慮することでより高精度に学習者が躓いている箇所を特定できる可能性を定量的に示した.この成果は国内の研究会・ワークショップで報告した.一方で,モデルログに基づき,振る舞いやトリガーといった図要素プロパティ値の変更内容を時系列で可視化することで,学習者がモデリングの中で,試行錯誤を繰り返した内容やそのとき扱った具体値の変遷を教師が把握しやすくなる手法も提案した.この成果は査読付き国際会議で報告した.課題(2)(3)に対し,解答例と答案間のモデル差分を静的に解析し,その違いを状態や遷移の過不足といった分類で出力する手法・ツールの実現を行なった.そして,この分類結果は教育的フィードバックの資源として役立つ見込みも得られた.この成果は国内の研究会や,異なる複数の査読付きシンポジウムで報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により十分な実験が実施しにくい状況にあり,やや遅れている状態にある.このことは,研究課題が,提案と実証を繰り返す必要のある積み上げ型の課題であることに起因する.
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Strategy for Future Research Activity |
課題(1)は概ね完了したとみなしている.より発展的な取り組みとして,プロセスマイニングによるモデリングに成功する学習者の特徴を抽出することを試みている.一方,ログ解析に基づく躓き箇所推定の自動化に際しては,視線の背景にあるコンテキスト(何のために何を見ているのか)の推定や,視線の先に存在するコンテンツは何であるかの自動判別を実現することが望ましいことが知見として得られたが,これらの技術の確立は大きな課題となるため,本研究計画の先にある今後の研究課題として扱い,取り組んでいく予定である. 課題(2)(3)については,静的解析と動的解析を組み合わせて正答例モデルと答案モデルの差分を検出することでモデル上の誤りを特定する手法と,要求文と正答例モデルを形式手法を介して追跡可能とすることで満たせなかった要求を特定する手法を並行的に研究する.なお,これらの手法の出力は教育的フィードバックに直結するものであるため,課題(2)のみならず,課題(3)への取り組みを含むものである.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては,コロナウィルス感染拡大防止のため,複数大学による研究打ち合わせ(対面実験のための細かい調整等含む)のための出張や,それにより必要な実験計画に困難が生じたため,対話的な研究実験の実施等が十全にできなかった. 使用計画としては,COVID-19の影響が小さくなるなどの社会情勢の変化に応じ,上記の実験やその打ち合わせを実施するための出張費や,その結果得られた成果を様々な会議・雑誌で公開できるよう取り組む中での参加登録費や旅費,論文掲載費等に充てることを予定する.
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