2021 Fiscal Year Research-status Report
高校情報科教員を対象とする実践的で継続的な研修環境の構築
Project/Area Number |
20K03149
|
Research Institution | Taisei Gakuin University |
Principal Investigator |
西野 和典 太成学院大学, 経営学部, 教授 (70330157)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅羽 修丈 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (50458105)
大西 淑雅 九州工業大学, 学習教育センター, 准教授 (50213806)
尋木 信一 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (00353342)
山口 真之介 九州工業大学, 学習教育センター, 助教 (00380733)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 情報科教育 / 教員研修 / 授業設計 / 支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高等学校情報科の教員がオンデマンドの環境で実践的かつ継続的な研修を受けることができるように、授業設計・評価支援機能を備えた研修支援システムを開発することである。研修受講者は、システムから提供されるインストラクショナル・デザインの手法やリフレクティブ思考を伴う授業設計プロセスを実際に体験しながら、指導計画を立案し、授業を実施する。また、教材等のデータベースを構築し、研修受講者が指導計画に適した教材等を参照することができるようにする。 2021年度は、2020年度に行ったシステム設計に基づいて、(1)授業設計支援アプリケーションソフトウェアと(2)教材等メタデータ収集・登録用アプリケーションソフトウェアの2つで構成する授業設計支援システムの構築を始めた。(1)は、インターネット上の学習指導案、教材データ、授業動画等を参照できる機能、授業設計の各段階でインストラクショナル・デザインの手法等の情報を表示できる機能、高等学校学習指導要領(情報科「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」)の目標や学習内容を参照できる機能、指導計画を作成し(2)に登録できる機能などを備えている。また、(2)は、インターネット上に公開されている授業設計に有用な学習指導案、教材データ、授業動画等のメタデータを登録できる機能、本システムの構築・運用に協力する教員が自作した教材・指導案等を登録できる機能等を有している。 ソフトウェアの構築と並行して、熟練した現職情報科教員の協力を得て、学習指導要領の改訂で学習内容として重視される情報デザイン、データの活用、プログラミングを学ばせるための有用な教材の情報を収集した。さらに、研修で作成した教材や学習指導案の再利用や、指導計画や教材、授業の評価を共有して活用する手法についての研究も行った。これらの研究成果は、関係する学会の研究会報告としてまとめ、口頭発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、4月の研究開始当初から、新型コロナウイルス感染拡大の影響で研究活動がかなり制限を受けてきた。研究代表者および研究分担者のいずれも、オンライン授業の準備や実施、評価、学生指導等に多くの時間を割かざるを得ず、本科研の課題研究に専念できる時間を確保することが難しい状況が続いた。また、研究代表者の所属が別の大学に変わり、大学での授業の準備や、研究環境の整備にかなりの時間を費やすことになり、本科研の研究をスタートさせる時期が予定より遅れた。2020年度の後期に入り、本科研のメンバーとオンラインでの打ち合わせを行うことができるようになってからは、研究の進捗や関連情報を研究代表者と研究分担者が共有するファイルドライブを設定するなど、研究がよりスムーズに進めることができるように、研究環境の改善を行った。2020年度は、前半での研究の遅れの影響で、予定していた授業設計支援システムの設計を終了させることができなかったため、「(3)やや遅れている」と評価した。 2021年度に入ってもコロナ禍は続き、対面での打ち合わせは困難であったが、オンラインでの研究打合せを1~2か月に1回程度行って研究を加速したため、2020年度にできなかった授業設計支援システムの設計を終えるとともに、2021年度に計画した授業設計支援システムの実装をほぼ完了し、教材等メタデータ収集・登録用アプリケーションソフトウェアも作成することができた。また、情報科のベテラン教員の協力を得て、重要な学習内容に関する教材や指導案の作成を行うこともできた。このように、2021年度末までに予定した研究計画をほとんど実行できたことから、(2)「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度で構築を行った(1)授業設計支援アプリケーションソフトウェアと(2)教材等メタデータ収集・登録用アプリケーションソフトウェアの動作をテストし、試用して機能の改善を図るとともに、(2)を利用して、2021年度に収集・作成した教材等のデータをデータベースに登録する。さらに、インターネット上に公開されている授業設計に有用な学習指導案、教材データ、授業動画等のメタデータを収集し、データベースに登録する。また、本システム構築・運用に協力する教員が自作した教材や学習指導案等の指導計画もデータベースに登録する。その際、教材や指導計画は、学習指導要領の学習内容に付与されているコードに準拠して分類することによって、異なる教科書を使用する場合においても、授業設計の内容に適合する教材や指導計画を参照できるようにする。 また、学習内容だけでなく、研修受講者が、(1)のアプリケーションを利用することで、インストラクショナル・デザインの手法を意識したり、リフレクティブ思考を伴う授業設計を行ったりすることができるかを確認する。 2022年度は、2021年度に実装した授業設計・評価支援システムを統合して研修環境を完成させる。その後、研究代表者や研究分担者が所属する大学の情報科の教職課程の授業で、作成した研修システムを実際に利用し、必要に応じてシステムを改善する。さらに、現職の情報科教員の協力を得て、実際の情報科の授業実践でこの研修環境を利用する。 本研究で構築した情報科教員のための研修システムは、都道府県の教育委員会に紹介して利用を促す。また、研究代表者および研究分担者は、本研究で得られた知見を、国内外の関連学会で研究発表を行う。
|
Causes of Carryover |
2021年度も新型コロナウイルス感染症の影響で、研究の打ち合わせや研究発表のほとんどをオンラインで実施した。そのため、パソコンの購入など、オンライン会議用の機器等を購入する物品費は予定より増額したが、研究打合せや研究成果を発表する学会等の研究会の多くがオンラインで実施されることになり、計画していた出張旅費がほとんど不要となった。 このような理由で、実支出額が当初予定していた当該年度の所要額より少なくなった。
|
-
-
-
-
[Book] 情報科教育法 これからの情報科教育2022
Author(s)
鹿野利春, 高橋参吉, 西野和典, 鷹岡亮, 森本康彦, 稲川孝司, 大石智弘, 齋藤実, 佐藤万寿美
Total Pages
199
Publisher
実教出版
ISBN
978-4-407-35521-5