2020 Fiscal Year Research-status Report
Non-AI non-NS Japanese of the English teacher in Japan: developing Japanese can-do statements in English classroom
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20K03156
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
表 昭浩 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 准教授 (70817238)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 英語教師熟達モデル / 日本語CanDo / 非AI的支援 / 自己効力感 / 発話行動 / 英語教師の日本語 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は,これまでの事例研究を通じて中学と高校の日本人英語教師が日本語が過大使用(日:英 ≒ 7:3)となる問題や,生徒との社会的・認知的な相互作用によって日本語や英語の発話が変化する状況を見出している(Omote, 2017). R2年度は,この変化の教授経験による違いを実証的に検証するために,若手・中堅・ベテランの3名の事例による教授発話(英語・日本語)を対象として混合法で定量的,定性的な分析を行った.定量分析では教授発話を言語別,機能別にカテゴライズして数値化し,それぞれの独立性を比べ,また,定性分析では,Fenstermacher(1994)の実践的対話の理論に基づいて教師と対話したデータをBandura(1997)の自己効力感との関連から理論的に分析した. その結果,定量的には,教授発話の日英言語の割合や,発話の機能的(教授内容に関わる発話・教授の枠組みに関わる発話・学習以外の発話)割合が教授経験により異なっていることが明らかとなり,また,定性的には,これに自己効力感(学習に良い影響を与えているという感覚)が中心的に関係していた.両者を統合した結果,若手からベテランへと至る一つのモデルを示唆していることから英語教師の熟達モデルを考える際の基礎的な知見は得られたものと考えている. 今後の課題は,教授発話を,AI的支援・NS的支援,非AI的支援・非NS的支援の4つの事象による観点からカテゴライズすることである.このためには,従来英語教師が中心的役割を担ってきた文法解説や英語音声の指導の在り方を含め,教師の熟練の過程で,これらの4事象,取り分け,非AI的支援・非NS的支援がどのようなメカニズムで教授発話に関係してくるのか同定していく必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
R2年度は,2つの事例(研究1,研究2)を通じて非AI的・非NS的支援を定性的に同定する予定であった.しかしながら,コロナ禍による学級閉鎖やオンライン授業との併用のためにデータ回収が予定通りには進まなかったため,研究の遅延と変更を余儀なくされた.一方で,AIと教育に関する先行文献を集め一定程度の近年の知見を得ることは出来た. 研究1では,ベテラン日本人教師の日本語発話の長期的(9年間)変化に注目し,当該教師の発話行動と自己効力感の関係を深く探る予定であったが,データ回収が出来なかった.必要な教授発話データとインタビューデータを早期に回収して,翻訳やルールを重視する認知的支援(AI的支援)から,社会性や創造性を重視する支援(非AI的支援)へと変化する英語教師の専門的な熟練の道筋を明らかにする予定である. 一方.研究2は,協力を依頼していた教師がコロナ禍で協力出来なくなり,分析の一部が予定通りに終了しなかった.そのため,R3年度は経験年数の異なる3名の日本人教師を対象に新たにデザインし直して,横断的デザインでデータ回収,分析,結果の統合をする予定にしている.これにより,それぞれの非AI的・非NS的な支援を同定することで,得られた結果を比較検討する.結果は,新たな英語教師の自己評価基準となるCanDoリストの創出へ向けて活用することを考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
R3年度は,R2年度の2つの事例研究で得られた縦断的・横断的な発話行動モデルの原型からCanDoリストの原型となる「日本語評価質問紙」の開発を行う予定であったが,先述の通り,R2年度の計画が一部変更となったため.R3年度はR2年度に出来なかった研究1と研究2を本来の予定を一部変更して進めて行く.これに伴い,当初の予定であった令和4年度までの「日本語評価CanDoリスト」の開発が遅れることが懸念される,一方,本年度中の研究の進捗状況が未だに見通せない状況(多くの協力校が,現在コロナ禍の現状にある関西の中学校と高等学校であること)にあることから,場合によっては,出来るだけ早い時期に計画を1年延期するべきかどうかも含めての判断をするつもりである. あくまでも現在の予定では,R4年度は,国内英語教師(数百名程度)を対象に経験の長短により発話行動の評価がどう異なるのか自己効力感との関係も合わせながら定量的に検証し,一般化を目指す予定である。これにより、定性的に得た発話行動モデルを統計的に推定された量的結果と照らし合わせ、相補的・総合的に混合法で比較検討する。予定通りに終了すれば,本研究の目的である英語教師の日本語CanDoリスト化を行い,R4年度下半期に発表する予定であるが,遅れるようであれば計画の1年後ろ倒しを申請することで余裕を持って分析と発表の工程にじっくりと取り組む可能性も考えられる.
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Causes of Carryover |
コロナ禍による学会参加旅費の支出ゼロ(Online開催)
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Research Products
(6 results)