2021 Fiscal Year Research-status Report
Redesign of item questions for class evaluations by qualitative and quantitative analysis
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20K03163
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
杉原 一臣 福井工業大学, 環境情報学部, 教授 (90367508)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アンケート / 授業評価 / 質問項目の機能不全 / 強い相関関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の初年度は,過去に初学者を対象に実施したアンケートデータを定量的に分析し,「機能していない質問項目」に共通する特徴の発見に努めた。また,社会調査に関する文献を調査し,調査票の作成における「ワーディング」の諸問題と設問の機能不全との関連性を検証した。これらの関連性については,個別の関連性を議論するのではなく,複数の項目からなる群との関わりを検証する必要性が示唆されており,定量的・定性的の両面から分析する手法の開発に取り組んでいる。
研究計画の2年目にあたる令和3年度は,前年度に行った定量的・定性的な分析を継続しつつ,設問の機能不全を表す指標の開発に着手した。この意義は,機能不全の程度を可視化すること,延いては,アンケート作成に従事する者の見直し作業において気付きを促すことである。これまでの定量的・定性的な分析を通じて,回答分布の分散度が大きい設問群と,小さい設問群にそれぞれ着目したところ,まず,分散度の大きい設問群においては有意な相関関係のある設問群があった。一般的に,相関関係の設問群については,因果関係を含む隠れた構造に議論が及ぶが,極めて相関の強い関係であれば,個々に設問をおく必要はなく,「機能不全」とみなし,これらを縮約の対象となることが考えられる。また,分散度の小さい設問群においては,分散度が極めて小さく,特定の選択肢に回答が集中する設問群があった。これについても,縮約の対象として注目する余地があると考えられる。今回得られた知見を基に,機能不全の指標化を多方面から試みたが,特筆すべき十分な成果は得られておらず,研究成果の報告は次年度に持ち越すこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では,「回答にゆらぎが生じるアンケートの要因とはどのようなものか」を学術的な問いとして定め,適切な授業改善を進める上でアンケートの設問に潜む機能不全に着目し,アンケートに関する定性的・定量的な情報から,既存アンケートの再設計を行う方法を確立すること」を目的としている。初年度の取り組みにおいて生じた「データ構造の問題」を解消したものの,検証に基づく機能不全の要因や条件を明示するには至っておらず,また,機能不全の指標化について特筆すべき成果が得られていない。しかしながら,機能不全の要因となりえる点がいくつか見つかっていて,次年度以降の活動において遅延を取り戻すことは可能であると考えている。
これらの状況から,本研究課題の進捗状況はやや遅れているものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画2年目となる令和3年度においては,データ分析の遅れをとり戻すべく,定量的・定性的の両面から分析を進め,当初の計画に掲げた「機能していない質問項目」の発見およびその特徴の抽出において一定の成果を得たが,機能不全度の提案には至っていない。令和4年度においては,定量的な分析をさらに推し進めるとともに,設問の文章構造を解析する等,定性的な分析を並行して進める。
また,前年度にも掲げたとおり,各種アンケートデータにおいて,この指標の有用性ならびに普遍性を検証することにより,汎用性の高い評価手法の確立を目指す。この手法に基づき,従前のアンケートの改善を試み,研究計画のとおり,機能していない質問項目の表現の改訂,ならびに,項目の統合や削除を行う方法を開発する。
以上の取り組みの成果を教育関連の学会で報告する他,社会調査や情報関連の学会でも成果報告し,多方面から研究計画に関する意見を募ることで,アンケートの見直しに関する研究の意義を広め,アンケートを通じた各種改善活動に寄与する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い,計画2年目(令和3年度)も,現地調査,打ち合わせ,学会発表等,対面での実施を予定していた活動がすべて滞った。当面の間,現地調査等の対面での活動においては,大きな制限がかかる可能性が高く,3年目も同様の事態が想定される。
令和4年度は,新型コロナウイルス感染状況を注視しつつ,学外での活動を模索する一方,オンライン開催のメリットを最大限に活用し,研究会や学会での報告機会を可能な限り増やすことで,成果発表の機会を確保するだけでなく,関連研究の情報を広く収集し,集めた情報を本研究の推進に役立てる。
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