2020 Fiscal Year Research-status Report
簡易型呼吸数測定装置の開発と教育・健康分野への応用
Project/Area Number |
20K03164
|
Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
鷲野 嘉映 岐阜聖徳学園大学, 看護学部, 研究員 (90220855)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 敏 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 教授 (80130946)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 呼吸 / 自律神経 / 学習効果 / 健康増進 / 自己トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、良い呼吸によって健康の保持増進や学習効果向上を図るため、新規な小型の非侵襲的な呼吸数検出装置を開発し、自らの呼吸方法を知り、呼吸を意識的にコントロールする方法を習得することを目的とする。呼吸数計測には小型の慣性センサ等を用いる。呼吸に伴う胸郭や腹部の膨張収縮をセンサの変化として検出・記録し、解析することにより呼吸数を計測し、可能であれば安静時と準安静時の胸式と腹式呼吸法を知ることを目指す。 本年度は、第一段階として、安静時におけるヒトの腹部の動きを慣性センサーで検出し、呼吸数を計測する装置のハード(装置)・ソフト(解析)両面からの開発・検討を行った。すなわち、呼吸変動検出部と汎用コンピュータからなるデータ解析部で構成された装置の開発に注力した。検出部は、慣性センサー、マイクロプロセッサおよびSDカードを組み合わせにより開発した。検出部は、伸縮ベルトによって身体部に固定する形状とした。データ解析はコンピュータ上で行った。呼吸に伴う腹部の動きの計測には、主に角速度を用いた。加速度は、体のわずかな動きにも直接影響され、呼吸に伴う変動のみでなく体動によっても変動することでアーチファクトの原因となるため、角速度と加速度を併用し正確な呼吸検出のためのアルゴリズムを検討した。さらに、記録されたデータに各種フィルタを通し、呼吸数検出に適した周波数条件などの検討を行った。 今年度の検討により、装置開発の道筋を示すことが出来た。得られた成果は2021年4月ベトナムで開催の国際会議で採択され発表の予定であったが(発表題目:Proposal of Breathing Detection Method by Using Bending Sensor in Daily Life)、新型コロナウィルスによる海外渡航禁止により出張ができず、現時点では未発表である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は3段階によって実施する。すなわち、第一段階として呼吸検出装置の開発を行い、第二段階として準安静時における呼吸検出装置の開発を実施する。さらに、第三段階として教育・健康分野への応用を検討する。 本年度は、第一段階の呼吸検出装置の開発に注力した。すなわち、1.慣性センサーを利用した呼吸数検出装置ハードウェアの開発、2.データ解析部 アルゴリズムの開発である。 本年度の検討により、装置の構成の方向性を固め、体動等で生じるアーチファクトを考慮した解析装置の開発にほぼ成功したが、新型コロナにより被験者の確保が困難であったため少人数でのパイロット的な検討しか実施できず、全ての対象者に対して有効な装置・アルゴリズムの開発には至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
呼吸数計測に適する部位の決定においては、胸式と腹式呼吸の違いを把握することも考慮する必要がある。よって、被験者を増やし体型や体位を考慮した上で、胸上部、胸下部、へそ上部、へそ下部での変化を観察し、呼吸数を検出するのに最適な測定部位を確認することを計画している。 今年度は、さらに準安静時における呼吸検出装置の開発も進める。すなわち、日常生活行動に伴う加速度・角速度変化と呼吸に伴う変動を分離評価可能な装置開発を進めていく。新型コロナ感染症蔓延のため多くの被験者を用いた検討が困難であることが予想されるため、今年度も少人数の被験者での測定を繰り返すことで、測定の精度を高め、第三段階としての教育・健康分野への応用に直ちに取り掛かれるように準備を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度は、研究代表者所属の異動にともなう研究環境の整備、および新型コロナ感染症蔓延により研究者間で密に打ち合わせをして装置開発し、その装置を利用したヒトを対象としての検討が実施できない状況にあった。 また、新型コロナ感染症により発表を予定していた学会、国際学会への参加が困難となり、旅費等の支出が困難であった。 次年度は、装置開発のブラッシュアップを進めるとともに、今年度実施不可能であった詳細な測定部位等の検討、アルゴリズム等の再検討を実施する予定である。 なお、新型コロナウィルス感染症により、研究代表者と研究分担者それぞれが機器の解析を別に進める必要があり、かつ研究代表者が新たな異動先へ異動し、研究分担者が名誉教授となり研究環境に変化があることより、それぞれが滞りなく研究を遂行するために、旅費等を物品費(特に消耗品費)に流用することを予定している。
|