2020 Fiscal Year Research-status Report
Design of learning methods reflecting AI features extracted in the Turing test
Project/Area Number |
20K03171
|
Research Institution | Information and Research Center for Learning |
Principal Investigator |
赤堀 侃司 公益財団法人学習情報研究センター, 研究開発, フェロー (80143626)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | AI / 学習方法 / チューリングテスト / 読解力 / タキソノミー |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度では、AIと人との違いを、学習の認知スキルの観点から、明らかにした。拡張型チューリング・テストを用いて、予備実験を行った。その方法は、何故そのように判断したのかを答えてもらい、その理由から、AIと人との違いを明らかにする。この結果、AIと人のいくつかの違いが明らかになった。知識カテゴリーは、AIは「教科書的・定型的・辞書的・専門的・順序正しい回答」という特徴があった。人間はあいまいで、その時その場で対応する柔軟性を持っているが、AIの回答した専門的な内容を読んで、その推定年齢は高いと判断したと思われる。思考カテゴリーは、逆に推定年齢は低く、その理由として「理由・推測・意味付け・あいまいな問いが難しい」が挙げられた。AIは、まだ思考レベルでは人間に劣っていると大学生たちは判断した。特に、理由を述べる、文章を理解する、意味付けをするなどでは、人間の能力が優れていると感じたと言える。さらに認識カテゴリーでは、写真やイラストを見てどのような連想をするのか、どのように認識したのかという問いで、連想の違いによってばらつきが大きい結果になっている。 また、AIと対比して、読解力の低下が社会問題としても取り上げられているので、PISA2018の読解力の問題内容を分析した。さらに、大学生を対象に教科の学力の調査を実施した。全国学力学習状況調査B問題や高等学校入学試験問題のように、データが公表されている問題を、大学生に課して、小中学生と比較する方法である。その結果、国語の正答率は、ほとんどの問題が回帰直線より上位にあり、理科や社会は、ほとんどが回帰直線より下位にあり、それは統計的な有意差がある、という知見を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2020年度では、AIと人との違いを、学習の認知スキルの観点から、明らかにした。拡張型チューリング・テストを用いて、予備実験を行ったが、その成果をAI時代の教育学会で発表できたので、これは予定通りである。また、AIと対比して、読解力の低下が社会問題としても取り上げられているので、PISA2018の読解力の問題内容を分析したことも、予定以上の研究である。さらに、大学生を対象に教科の学力の調査を実施した。その結果、国語の正答率は、理科や社会に比べて、かなり高く、統計的な有意差がある、という知見を得たことも、予定以上の成果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
AIと認知の研究を継続すると、結局は、人は何を学習すべきか、という課題に到達する。 追求すべきは、これからの子供にとって、優先すべき学習内容や方法であり、その理由を明らかにすることになる。傍証的な研究はあるが、例えば、国語、数学、理科の学力学習状況調査の因子分析を行った結果、国語の因子は、理科にもかなり寄与があった。つまり、国語は、数学にも理科にも、たぶん社会にもどの教科にも必要な能力、汎用的な能力と言えるだろう。これに対し、理科や社会は、自然や社会における現象を解明し、理由を探求し、広くは問題解決を目指す、と考えれば、汎用的な能力の他に、固有の知識と問題解決に必要な能力が求められるだろう。数学は、それ自身が閉じた世界なので、理科社会とは異なる。この違いについては、先行研究で、Thematic(教科に固有な概念や個別スキル)、Interdisciplinary(教科等を横断する概念や汎用的スキル)、Transdisciplinary(実世界での課題を解決する能力)と分類しているので、興味深く参考になる。PISAや学力学習状況調査B問題、新学習指導要領が目指す方向は、Transdisciplinaryであろう。この立場で考えて、これから目指す学習内容や方法を、研究の方向としたい。
|
Causes of Carryover |
2020年度は、コロナ禍のために、予定していた海外出張ができなかったこと、予定していた対面実験がオンラインになったために、会場費が無くなったので、使用額が減少した。 2021年度は、コロナ禍の影響がなければ、2020年度の研究計画を追加して遂行する予定なので、助成金を上乗せする。なお、まだコロナ禍が終息しない場合は、2022年度に持ち越す計画を立てている。
|
Research Products
(8 results)