2021 Fiscal Year Research-status Report
Design of learning methods reflecting AI features extracted in the Turing test
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20K03171
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Research Institution | Information and Research Center for Learning |
Principal Investigator |
赤堀 侃司 公益財団法人学習情報研究センター, 研究開発, フェロー (80143626)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学力比較 / 学習方法 / 読解力 / 論理的思考力 / タキソノミー |
Outline of Annual Research Achievements |
国語・数学・理科の全国学力学習状況調査(平成30 年度)の小中学生対象のB 問題から選択して、大学生に回答してもらい、小中学生の全国平均値と比較した。 その結果、①大学生は、小中学生に比べて、文章の構造や文章理解において、優れている。②しかし大学生は、小中学生と比較して、理科や数学の論理的思考力は、国語の読解力に比べて低い、ことが分かった。そこで、埼玉県公立高等学校入学者選抜における令和2年度の国語と社会の問題を、大学生に回答してもらい、高校受験生の平均値と比較した。その結果、③国語の問題では、高校受験生に比べて、大学生が優れた得点を示した。④しかし、社会の問題では、大学生は、高校受験生に比べて、むしろ低い得点を示した。 この結果から、国語に代表される読解力は、能力を維持するか向上していることに対して、数学・理科・社会などの推論や知識の適用に関する能力は、低下している、という知見を得た。これを、これから求められる資質・能力の視点から、考察した。 さらに、読解力の資質・能力は、教科を横断する汎用的スキルと捉えられる。筆者の実施した学力調査では、 全国学力学習状況調査 B問題や高等学校入学試験問題から選択した問題なので 、B問題は応用的で総合的な問題内容であり、入学試験問題も応用的で現実的な問題を選択した 。その意味では、 教科の知識に加えて、探究的な資質・能力が求められる。もし、このような解釈が成立するならば、国語、数学、理科・社会の順で、正答率が低くなることは、納得しやすい。つまり、汎用的スキルである読解力よりも、課題探究や現実世界に教科知識を適用する資質・能力のほうが、より高度であり、難しいと考えられる。その知見を、査読付き学会論文誌に投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の研究計画は、以下の通りである。 小学生・中学生と同一問題を大学生にテストをして、学習の認知スキルの何が向上し、何が下降し、何が維持しているかを、明らかにする。さらに、同一問題は、全国学力学習状況調査の問題を想定する。国語・算数・理科の3教科に対して問題を選択して、Bloom のタキソノミーを元にして、どの学習の認知スキルが、上記の特性に対応するかを調べ、どの認知スキルが課題になっているかを、明らかにする。 上記の研究は、研究実績の概要に書いたように、順調に進展した。但し、Bloom のタキソノミーに、直接関連付けて、分析はできなかった。これについては、2022年度に、研究計画に追加して、実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究計画は、以下のような計画になっている。 2021年度の知見を活かして、人の学習の認知スキルを伸ばすための学習方法のデザインを行い、予備的な実験を行う。3つ程度の学習方法をデザインする。知識の獲得を求める学習方法、写真などを提示しながらAIと対話することで学習の認知スキルを高める学習方法、あいまいな検索によって得られる画像などの収集によって、創造的な学習に寄与できる学習方法のデザインを試行的に実施する。 この計画に加えて、現在の進捗状況の欄で記載したように、Bloom のタキソノミーに関連付けた分析を追加する。この分析についても、既に実施しているが、その研究遂行において、数値データによる分析だけでは、深い知見が得られないことが分かり、質的な分析が必須であることから、その分析に着手している。但し、膨大な時間が掛かるので、試行錯誤しながら、推敲する計画である。
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Causes of Carryover |
2021年度は、コロナ禍のために、予定していた海外出張ができなかったこと、予定していた対面実験がオンラインになったために、会場費が無くなったので、使用額が減少した。 2022年度は、コロナ禍の影響がなければ、2020年度の研究計画を追加して遂行する予定なので、助成金を上乗せする。なお、まだコロナ禍が終息しない場合は、2023年度に持ち越す計画を立てている。
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Research Products
(9 results)