2022 Fiscal Year Research-status Report
Action research to develop a teaching method to elicit question generation in elementary school
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20K03179
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
生田 淳一 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (70412450)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 質問生成 / 学級文化 / 授業方法 / 協同学習 / トレーニング / ICT活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、いわゆる「主体的・対話的で深い学び」が促進されるような児童の自発的な質問生成を引き出すことである。その要因の一つとして学級文化に注目し「教室における児童の自発的な質問生成を個人要因により説明することに限界があること」、「教室における児童の自発的な質問生成には学級差があり、主体的な学びが求められうような学級であるか、学習者同士あるいは教師と学習者の関係性が築かれている学級であるかによって質問生成が起こるか否かを説明できる可能性があること」といった指摘について検討を行っている。 「主体的な学びが求められうような学級であるか」について、小学校のどのような学級間差があるか、あるとすればどのような児童の活動の学級間差に反映されるのか、について特に学校生活意欲に着目して分析を行った。具体的には、小学校3校にて、延べ40クラスの学級文化に係るデータを収集し、学級間差の特長について基礎的な分析を行った。 その結果、学級文化の特長に学級間差があり、その学級間の差に応じて児童の学校生活意欲に差があることが分かった。規律や人間関係が醸成されている学級の方が、そうでない学校よりも学校生活意欲が有意に高い。また、学級文化の特徴によって生じる子供の意欲は量的な違いが見られるとともに、質的に異なること(学習意欲のクラスターの出現割合の違い)を確認した。このことから、教師の学級経営の結果として醸成される環境が、学級において児童が学校生活意欲の高さを規定する可能性が示唆される。学校生活意欲の高いクラスで質問生成が促進される可能性が高い(この点については、今後の検討課題とする)。 学級間差を規定する要因として、教師の学級経営力に着目することができることから、アセスメントをもとに授業づくり・学級集団づくりを行っていく、教育実践の取り組みについて、本研究のテーマと照らして検討することが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究において開発する手法の一つとして、協同学習を取り入れた授業の観察や実践を計画していたが、この点についてはCOVID-19対策のため、実施することができなかった。次年度以降は、協同学習を取り入れた授業の観察実践が可能となる見通しがある。また、新たな視点として、ICTの活用や家庭学習の影響(予習・復習)を加えることで、協同学習で限界があったとしても研究を遂行していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、協力校を拡大して、データ収集等を進めていく。一方で、ICTの急激な普及、その活用というニーズが高まっている。この状況の変化を鑑みて、次年度以降は、ICTの活用も視点に加えて研究を遂行していきたい。具体的には、ICTを利用したデータ収集にとどまらず、協同学習を取り入れた授業あるいはそのような授業にICTを活用すること、つまり、ICTを活用した授業づくりやその中での質問力の育成にも取り組んでいく予定である。さらに、ICT活用と並行して、取り組みが進みつつある、個別最適な学習や家庭学習の視点を取り入れた取り組みにも試行的に取り組むこととする。
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Causes of Carryover |
予定していた調査研究が協力校の都合により実施できなくなり、研究機関を延長し、次年度以降に計画を見直し、再度調整したのち実施することとなったため。
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Research Products
(1 results)