2020 Fiscal Year Research-status Report
ネットいじめに留意したファシリテーターとしてのICT活用教員研修プログラムの開発
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20K03187
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
今田 晃一 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (40342969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 大樹 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 講師 (90721671)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ネットいじめ防止 / ICT活用 / GIGAスクール構想 / 教員研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスの影響でGIGAスクール構想が前倒しされたことに関連して本研究のテーマである「ネットいじめ防止」、主体的・対話的で深い学びを促進するICT活用の在り方とその教員研修についても変更を余儀なくされた。研究協力校も含めてまずはGIGAスクール構想への整備を最優先し、来年度その環境が整ったという想定の下に模擬授業およびそれを受けての教員研修を行うことを優先した。 なおその「ネットいじめ防止」についてであるが、対話を促進するために「スイッチャー」というその場の気まずい雰囲気を一気に前向きに変えてしまうようなコメントを書ける人をめざす、という独自の目標を設定した。そのことで児童生徒の関心をもたせることができたのか、主体的で対話的な学びが促進されたという自己評価授業評価項目で成果が認められた。このスイッチャーは、報告者自身のオリジナルでありまだ適切な用語を定義できていないが、今後のSNSおよびネット時代のコミュニケーション能力の一つとして重要な視点として提案し、さらに適切な用語を模索中である。 本研究に関する模擬授業および教員研修も新型コロナウイルスの影響でリモートで行わざるを得なかったが、埼玉県春日部市武里西小学校では計3回、東大阪市立日新高校で1回、他に対面で関連の教員研修として東大阪市教育センター主催の新任校長および教頭対象で行った。 本研究に関しての論文は、ネットいじめ防止に関連したものは2本投稿し、現在査読中である。ただ本研究に関連して、新型コロナウイルスの影響でGIGAスクール構想下での模擬授業および教員研修が想定以上に求められる状況となり、GIGAスクール構想をテーマとした論文についてはも2本執筆しすでに印刷物となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの影響で、学校に赴いての模擬授業および教員研修は困難な場合が多かった。そのため、オンラインで行ったが、当初予定よりは実施回数は少ないものとなってしまった。 今後、実際に学校に赴いて本研究に関する模擬授業および教員研修が実施できるようになれば、その回数を増やすことができて研究に関するデータもよい多く得られ、その知見もより適切に整理できると考える。GIGAスクール構想への環境整備、その状況下におけるネットいじめ防止をテーマにした対話を促進するためのICT活用の在り方は、引き続き要望の多いテーマである。科研費申請当初より、端末等の環境は想定以上に進化したが、それに対応できるための思考ツールとしての端末の在り方も本研究に追加して検討していきたい。 本研究に関する1年間の模擬授業および教員研修の結果、実践の結果、教員研修用の動画を数本作成することができた。これらの研修用の動画教材は、すでに研究代表者の在籍する大学での教職の授業において活用している。この動画はファシリテーターの視点や、ICT活用のポイントなどが随時コメントとして表示されるのが特徴で、学生からはICT活用の学習指導上の留意点が理解しやすい、という比較的高い評価を得ている。これらの動画教材は、You Tubeへの限定公開の形で作成した。また学生の評価活動より、その改善点も明らかになっているため、今年度6月中旬以降に改めて埼玉県の春日部市の実践協力校にて実践する予定である。以上のように研究1年目の予定に照らして、現時点では「おおむね順調に進展している」と考える次第である。新型コロナウイルスの影響で付け加えざるを得なかったGIGAスクールの視点と実践協力校の期待を、本研究の元々の目的と適切に整合性をもたせながら臨機応変の対応に留意して取り組んでいきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響でGIGAスクール構想に関する関心が高まっており、本研究も「ネットいじめ防止」をテーマとするも、GIGAスクール構想関連にも研究の視点を広げて教育現場のニーズに答えていきたいと考えている。ネットいじめについては、依然としてLINEによる問題が多く発生しており、児童生徒の関心も高いことが改めて明らかになった。それを単なる「~してはいけない」という暗転型の情報モラル教育にしてしまうのではなく、新しいSNS時代、Society5.0下におけるコミュニケーション能力の一つとして、その場の雰囲気を前向きに変えてしまうような即時的なアサーティブなコメント力を身に付けようというポジティブな発想で臨むものとする。これこそリモート時代に必要な新しい資質・能力であり、本研究ではそのような人を「スイッチャー(仮称:研究代表者のオリジナル)」と呼ぶこととして、児童生徒の興味関心に焦点を当てながら題材の工夫、検討に取り組んでいきたい。 また、令和3年1月に出された中央教育審議会答申「令和の日本型学校教育」に関しても新しい情報活用能力の在り方(次世代型情報活用能力)についても多くの記述がなされている。さらに「理数・データサイエンス・AIリテラシー科目」の検討も緊要性のある課題として研究代表者の勤務校では検討が始まった。これらの課題を、本研究と有機的に関連させながら取り組んでいきたい。本研究のテーマは、常に最新のテクノロジーと教育との関係性の中で課題が随時変化するものであり、「ネットいじめ防止」基盤および背景となる情報環境に留意したい。
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Causes of Carryover |
当初本研究に関する模擬授業および教員研修に関しては、現地に赴いて(謝金および旅費はいただかず)行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響でオンラインでの実施になったためその分の旅費が余ることとなった。次年度以降に緊急事態宣言が解除され、その出張分を充てることとした。 ただし、現状ではその出張も未確定なので、リモート研修用にGoogleの「Chrome book」を購入する。本研究での協力校も、「Google Workspace for Education」 を使用しており同じものを購入してGIGAスクール構想の推進、充実に協力したい。
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