2022 Fiscal Year Research-status Report
ラーニングコモンズを活かした文系初年次学生のための研究ベース学習の設計と実践
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20K03189
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
辻 高明 長崎大学, 大学教育イノベーションセンター, 准教授 (00454603)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学習観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,大学生低学年に研究体験をさせる研究ベース学習を開発することが目的である.2022年度は,本科研費研究により,研究論文2編,学会発表2件の成果を得た.研究論文2編は,ラーニングコモンズが設置されている大学図書館について学生が求めることをまとめた論文と,研究ベース学習を通した学生の学習観の変容についてまとめた論文である.また,それら論文に関連する内容は,日本協同教育学会および日本教育工学会の全国大会で学会発表した. 具体的には,以下のことを明らかにした.まず,学生が大学図書館に求めることとして,①「教員の課題提示における図書の利用」,②「図書を媒体とした教員とのコミュニケーション」,③「自習や勉強の合間に利用可能なリラックスできる空間」,④「館内の施設やスペースを活用した学内外の他者との交流」,⑤「積極的な情報発信による図書館の周知」,⑥「無料のドリンクサービスや充電器などの貸し出しサービスの充実」の6つがあることを明らかにした.次に,研究ベース学習を通した学習観の形成について,学生は,①「大学の学びでアカデミックスキルの利用を重要視する」,②「学術研究に関心を持ち能動的に取り組むことを重要視する」,③「他者との協働やコミュニケーションを通した学びを重要視する」という3つの学習観を形成していたことを明らかにした.そして,今後の課題としては,研究ベース学習の各活動内容の分析や,学生の学習成果におけるそれらの関連性をより詳細に明らかにすることが挙げられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度の研究は滞りなく進行したが,2021年度まで,新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止のため、実践研究の遂行に支障が生じていた.その分,本研究全体としては計画時よりやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,研究ベース学習の各活動内容の分析や,学生の学習成果におけるそれらの関連性をより詳細に明らかにする.とりわけ,研究ベース学習における活動のデザインと,学生の学習観の変容の関連性について明らかにする.そして,実践における学生の学習活動のエスノグラフィによる分析と,活動のデザイン(再デザイン)を循環させ,大学生低学年に研究体験をさせる研究ベース学習を開発する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行後、学会や研究会等のオンライン開催が増加したため,旅費など出張経費を中心に未使用額が出ている。2023年度は,より本格的に実践研究を遂行し,未使用の分は、観察記録やデータ整理の補助の謝金や、成果発表のための対面式の学会出張等の旅費などに充てる予定である。
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