2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Educational Program for Improving Creativity --- Applying Mediation Methods ----
Project/Area Number |
20K03191
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
久保田 真弓 関西大学, 総合情報学部, 教授 (20268329)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メディエーション / 聴く力 / 教育 / コミュニケーション / コンフリクト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、当事者同士で協調的かつ創造的に問題解決を行うメディエーション技法の教育的意義を明確にし、学校教育や市民教育で取り上げやすいような教育プログラムの開発、および教材作成をすることである。 2021年度は、日本・ピアサポート学会会長である池島徳大先生から専門的知識の提供ということで2回、Zoom会議でアドバイスをいただいた。一回目は、久保田と小学校教諭1名(K氏)とで会議し、海外でのピア・メディエーションの取り組み、小学生で実践する際の注意事項やビデオ教材作成に当たってのアドバイス等を伺った。2回目は、久保田と研究協力者鈴木有香氏を交えてピア・メディエーションの鍵概念などを念頭に教材作成に当たってのアドバイスをいただいた。 2022年1月から3月にかけてA氏の小学校で小学3年生を対象に池島徳大 (著, 監修), 竹内 和雄 (著)(2011)『ピア・サポートによるトラブル・けんか解決法!―指導用ビデオと指導案ですぐできるピア・メディエーションとクラスづくり』をもとに少し実践を始めた。本来なら久保田が実践中の授業を観察する予定だったが、コロナ下でもあり諸事情でそれは残念ながらできなかった。 教材作成にあったって大学のオンデマンド授業「コミュニケーションと行為」で大学生の日常のトラブルに関して事例収集をした。主に進学に関して両親との葛藤、アルバイト先での給与等をめぐるトラブルが多かった。また、留学生からは少し違う角度からのトラブルの事例が集まった。これらを整理して教材を作成する予定である。 2021年度は限られた活動ではあったが、メディエーションの前に相手の言い分を「聴く」ことの重要性と実践の難しさが浮き彫りになったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ下ということもあり、小学校は訪問が難しかった。大学での授業もオンラインなどになっており、思うようには進まなかった。 そのかわり事例収集と池島徳大先生からお話を伺えたのは有益であった。 さらに前述のK氏の協力のもと小学校3年生31名を対象に「児童間のトラブルについて、相互の声をきき合い、解決に向かえるようにする力の育成」の実践をした。日々トラブル(コンフリフト)がよく起こり、自己中心的な言動から言い争いや手足までも出てしまうような男子もいるにぎやかなクラスであった。池島氏のご著書から引用した「怒りの温度計」では、同じ事柄でも人によって「怒り」の感じ方が違うことが可視化され、徐々に皆、人によって違う感じ方や捉え方があることが理解されていったようだった。一学期間という短い取り組みではあったが、K氏より児童間の変化が報告された。今後はこれらを整理してまとめていきたいと考えている。 また、2021年度は、ケネス・J・ガーゲン著『関係からはじまる 社会構成主義がひらく人間観』について訳者を含めてグループで勉強する機会が多々あった。本書で提唱されている概念、境界画定的存在ではなく関係規定的存在として「個」を捉える視点からメディエーションの意義を捉え直すこともできるのではないかと考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はマスクを外してロールプレイをするなどで教材用の撮影ができるのではないかと考えている。収集した事例を整理し、研究協力者である鈴木有香氏のご協力をいただきながら教材作成をする予定である。作成した動画は、様々な媒体(方法)で見ることができる時代になったので、メディアの特徴も活かせるように考えていく予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度に発表する学会が、韓国での国際学会だったが、コロナ下でオンライン開催になったため旅費等があまり、次年度に繰り越した。 また、計画より少し遅れたが、2022年度は、教材開発をする予定なので、繰り越した金額をも活用して、教材作成に着手する予定である。具体的には、8月国際学会ICOME2022にて発表のため参加費、8、9 月教材作成のため人件費、交通費、10,11月実践にともなう報酬、 12月 2023年1月 最終的なまとめのための研究会開催のように計画している。
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