2021 Fiscal Year Research-status Report
スマホのサポートによるセルフSST(ソーシャルスキルトレーニング)の開発
Project/Area Number |
20K03195
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
久木山 健一 九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (10387590)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ソーシャルスキルトレーニング / セルフSST / 大学生 / スマートフォン / アプリ開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本来では2021年度はセルフSST(Social Skills Training)のアプリケーションに盛り込む機能やユーザーインターフェースなどの検討を行う予定であった。しかし,新型コロナ感染症の感染拡大により,自宅でリモート授業を受ける機会が増加したため,外出して他者と接する機会が著しく減少し,セルフSSTを行う機会を持てない学生が多くなった。そのため,従来の研究実施計画をそのまま実施することは非常に困難であった。 新型コロナが発生したばかりで,ビデオ会議システムの充実・周知・習熟などが未発達だった2020年度と比較すると,2021年度は教員学生両方がリモート授業に慣れ,リアルタイムのリモート授業で他者と交流しながら学習をする機会を持つことが増えた。そのため,セルフSSTのターゲットとなりうるソーシャルスキルとして,ビデオ会議上での対人関係を円滑にするためのスキルや,LINEなどを用いてリモート授業の情報を集めたりキャンパスに通えない状況の中で友人関係を拡大するスキルなどが存在することが考えられた。そのため,本研究ではビデオ会議システムを介したリモート授業で必要になるスキルやLINE上でコミュニケーションを取る際に有効に働くスキルなどの同定を試みた。また,ビデオ会議スキルおよびLINEスキルと対面でのソーシャルスキルの関連,またリモート授業への満足度などとの関連を検討し,同定したスキルの妥当性についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の感染拡大は2021年度も継続し,大学生の他者とのコミュニケーションの機会は大幅に失われることになった。そのため,本研究では,対人コミュニケーションが行われていない特殊な状況で従来通りの研究を行うことで特殊な結果を得てしまうことを避けるため,アプリの仕様やユーザーインターフェースの決定などを2021年度に行うことは断念し,次年度以降に延期することに決定した。そのため,他者とのコミュニケーションを基本とするソーシャルスキル,そのトレーニングに関する研究の進捗を予定通りにすることは不可能であった。以上のことより現在までの進捗状況に遅れが生じていることは否定できない。 しかし,ビデオ会議システムの急速な普及により,多くの者がビデオ会議システムに日常的に触れる機会ができ,その中での円滑なコミュニケーションに興味関心を持ちまた課題を感じるようになった現在,対面-リモート(ビデオ会議)-テキスト(LINE)という複数の「ソーシャルの場」を含んだ包括的なソーシャルスキルの捉えなおしや,対面-リモート-テキストでのソーシャルスキルのズレやバランスなどに目を向けることができたことで,これまで検討されてきた対面中心のソーシャルスキルの測定のみにとどまらず,現在の大学生に有効で,かつ将来の大学生においてより必要性が増すリモートやテキストに関連したソーシャルスキルについて検討する基礎を得たことは,上記の遅れがあったからこそであるともいえる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナの感染者数は未だに収まってはいないが,2022年度以降は対面授業を中心に行う大学も増え,大学生の対面コミュニケーションの量も新型コロナ以前同様とはいおえないが大幅に増加してきていると考えられる。2021年度にアプリ開発の進行を断念したため,それに係る研究費を2022年度に持ち越すことができている。そのため,その費用を外部のアプリ開発のプロに委託することでアプリ開発の速度を速め,過去の進捗の遅れを取り戻すことを画策している。
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Causes of Carryover |
新型コロナによる大学生の対人コミュニケーションの制限状況で実験を進行させると,新型コロナ禍の影響を強く受けた研究結果が出る可能性が高かったため,研究を翌年度以降に延期することとし,予算を次年度以降に集中して使用することとした。そのため,アプリ開発を企業などの専門家に依頼する度合いを高めることでアプリ開発のスピードを上げ,研究の遅れに対応することを計画している。
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Research Products
(2 results)