2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03206
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
飯島 康之 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30202815)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 数学教育 / 数学的探究 / 数理的探究 / 探究のサイクル / 動的幾何 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍という大きな環境の変化は今年度も続き,本研究で当初想定していた4人1組で1台のタブレットで学び合いをしながら進めていくという体制は,今年度も取り組みにくかった。一方GIGAスクール構想の実現に伴い,WiFi接続可能なタブレット端末を一人一台の環境で取り組むスタイルでの実践は行いやすくなったし,ロイロノート等を使った形での実践の可能性なども生まれてきたので,それらのノウハウの確立も進めながら実践の蓄積を行った。GC/html5を使った実践に関しては,愛知教育大学附属名古屋中学校などで4件行った。たとえば,三角形の重心は三角形の面積を3等分に分割するという性質を一般化するという探究例では,通常の重心の概念の一般化とは異なる方向性への発展が生まれるが,帰納的な実験だけでなく,点の動かし方など操作からの探究や,推論の重要性などが明らかになった。また,たとえばその時点で観察した結果だけでは,注目している命題が正しいかどうかがよくわからないときには,反例があるかどうかに焦点を当てて観察を進めるか,パターンが明確になるようにすることを念頭において観察を進めるか,あるいは観察ではなく,推論において証明を検討するのか,いくつかの選択肢に対する意思決定の場面があることなども明確になった。また,統計的なデータを使った数理的探究の事例として,大谷選手のホームランのデータをもとに,打球角度・速度からの探究例などの検討を行えた。ここでも,不完全な状態から次に進む進み方は複数存在する。その意思決定に重要性があることが明らかになった。また,素数や無理数などから「多くのデータ」を取得し,それに基づく実験などを取り組む事例の蓄積を行うことができた。一方,センサ類からのデータ収集をもとにした教材例の蓄積は次年度の課題になっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では実際中学校や高校において授業実践を実施することを一つの核としているが,コロナ禍で,共同研究を進めていくことが難しいケースがまだしばしばある。一人一台の環境の実現やその利用など,前向きの要因があり,当初の想定とは違うノウハウも蓄積できているが,全体的には研究授業実施への支障の方が大きく,研究はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
休校措置のようなことはなくなりつつあるけれども,学び合いなどを円滑に進めていく上での支障などは,今年も残ることが予想される。そのため,教材研究やその素地となる,大学学部学生や院生を被験者とした事例の蓄積とそれに基づく指導案の蓄積なども充実させ研究を補完していくことを進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,研究授業等の実施において,コロナ禍のために実施回数に制約が生じたり,また,オンラインでの参加・議論に切り換えざるを得なかったことや,センサ類を使った教材開発に遅延が発生したことによります。次年度においては,現地に参加する研究授業の実施やセンサ類を使った教材開発を組織的に行うよう,計画していきます。
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