2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of cultivation learning program for traditional crop varieties by a data-driven approach
Project/Area Number |
20K03208
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
森 太郎 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (90725053)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩山 幸治 滋賀大学, データサイエンス学部, 准教授 (90737040)
久保 加織 滋賀大学, 教育学部, 教授 (10190836)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 在来作物 / 栽培学習 / 栽培条件 / ベイズ的最適化 / ガウス過程回帰分析 / 施肥 / 株間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、子どもの「生きる力」を育むため、体験活動の推進・伝統と文化の尊重の観点から充実が求められている在来作物を教材とした栽培学習について、データを基にそれを説明するモデルを見つけ出すデータ駆動型アプローチによりプログラムを開発することである。今年度は、生産者の経験と勘で栽培されることが多く、学校現場では栽培が難しい在来作物について、十分な収量・品質が得られる栽培条件を検討した。滋賀県在来甘トウガラシ‘杉谷とうがらし’、ナス‘杉谷なすび’、辛味ダイコン‘伊吹大根’を対象として、生産者への聞き取り調査により検討が必要な栽培条件の項目を決定し、決定した項目に関して圃場試験を行い、生育・収量・品質を調査した。また、圃場試験において、気温や日射量などの栽培環境の測定も行った。 ‘杉谷とうがらし’、‘杉谷なすび’:生産者への聞き取りの結果、‘杉谷とうがらし’は、株間、基肥量、追肥量、追肥のタイミングについて、‘杉谷なすび’では、基肥量、1回目の追肥量、2回目の追肥量について検討することにした。‘杉谷とうがらし’は、過去の研究データを基に、未知のブラックボックス関数について、その推定に基づき効率的に最適解を探索するベイズ的最適化を用いて、‘杉谷なすび’は、生産者の慣行的な施肥量をベースに試験区を設定し、生育・収量・果実品質を調査した。収量に関してガウス過程回帰分析を行い、生育・果実品質の結果と考え合わせて現時点での最適な栽培条件を予測した。 ‘伊吹大根’:生産者への聞き取りの結果、秋播き栽培における施肥量・収穫時期、作期拡大に向けた春播き栽培について検討することにした。今年度は、秋播き栽培において、生産者の慣行的な施肥量をベースに試験区を設定し、収量と品質を調査し、適切な施肥量を推察した。また、根部の品質を12月~3月において毎月調査し、季節変動を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、生産者の経験と勘で栽培されることが多く、学校現場では栽培が難しい在来作物について、十分な収量・品質が得られる栽培条件を検討することを計画しており、研究対象とする滋賀県在来'杉谷とうがらし’、'杉谷なすび’、'伊吹大根’において、生産者への聞き取り調査により検討が必要な栽培条件項目を決定し、その項目に関して圃場での栽培試験を行い、得られたデータから、現時点での最適な栽培条件を予測することができた。これらのことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
在来作物について、十分な収量・品質が得られる栽培条件の予測精度を向上させるために、今年度得られたデータを基にベイズ的最適化を用いて、試験区を設定し、圃場試験により得られたデーターから最適な栽培条件の予測を更新する。'伊吹大根’においては、作期拡大に向けた春播き栽培技術についての検討も行う。 また、在来作物の栽培学習プログラムの開発を行う。'杉谷とうがらし’と'杉谷なすび’では、小学校の総合的な学習の時間において実施し、今年度予測した最適な栽培条件を基本として学校園での栽培を進め、探究的な学習プログラムを考案・実践する。'伊吹大根’では、中学校の技術科生物育成の単元において実施し、本年度行った栽培試験の結果を基に、様々な社会的要求に応じた栽培技術の選択・応用・改良について考える学習プログラムを考案する。どちらの実践においても、質問紙調査とワークシートからデータ・テキストマイニングを行い、教育効果の解明と改善点の明確化を行う。
|
Causes of Carryover |
今年度は、新型コロナウイルスの感染拡大により、以下の2点において当初予定から使用額の変更が生じた。 圃場での栽培試験における生育調査のために光合成活性を測定する機器の購入を予定していたが、教育活動に関するエフォートが増加したため、今年度の実験では光合成活性の測定行わず、機器の購入を見送った。次年度に光合成活性を測定する機器を購入する予定である。 学会発表に伴う旅費の執行を予定していたが、参加した学会全てがオンラインでの開催となったため、旅費が不要になった。これにより生じた金額は、栽培や成分分析のための試薬や消耗品費に充てる予定である。
|
Research Products
(2 results)