2021 Fiscal Year Research-status Report
反転・相互作用型授業における熟達者型問題解決教材の開発と効果の検証
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20K03210
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 恒司 九州大学, 基幹教育院, 教授 (00202268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 健太郎 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (20525456)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 物理教育 / 問題解決 / 反転授業 / 相互作用型授業 / 熟達者的思考 / 意思決定理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、物理学の問題解決における熟達者的思考 Think like a Physicist (TlaP) パターンを初心者に学ばせるために、TlaP を模倣するワークシートを開発し、それを実際に用いた際の学習効果を検証することが目的である。本年度も新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、授業が対面になったりオンラインになったりと、不安定な授業形態が継続され、十分な活用ができなかった。しかし昨年同様、オンライン環境でもブレイクアウトルームを用いた相互作用型授業を行い、また、TlaPを模倣するワークシートを用いた授業を行ったことにより、最低限のデータは取得した。
ワークシートへの学生の書き込みから、学生の持つ素朴概念や、苦手とする物理概念、陥りがちな(誤った)考え方など、初心者的思考パターンを定性的には抽出することはできるが、TlaP との違いをどのように定量的に測定するかについて、考えがまとまらずあまり進展がなかった。しかし最近、意思決定理論の手法が使えるのではないかと気づき、それについての研究を開始した。意思決定理論では、不確かな状況で最善の意思決定を行うためのツールも開発されており、例えば階層分析法(AHP)では、問題を階層化し、選択者の主観的判断を数値化するプロセスがある。このような方法により、(主観的な)学習者の思考パターンを数値化し、熟達者のそれと定量的に比較できるようになるのではないかと期待している。管見の限りでは、意思決定理論を物理教育研究に応用した例はなく、新しいアプローチになると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、対面授業、オンライン授業と目まぐるしく切り替わり、授業実践に過度な負荷がかかった。
学習者の思考パターンを定性的にではなく、定量的に表現する方法がわからず、模索する時間が長かった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進について、現在のところ、次のようなステップを考えている。 (1) 意思決定理論の様々なアプローチとツールについて学び、物理教育研究に応用できる要素を抽出する。 (2) それに基づき、学習者に自ら自分の思考パターンを客観的に判断できるようなシステムを、例えば Moodle 上に構成する。 (3) 最終的には、熟達者的思考パターンと初心者的思考パターンを定量的に評価できるようなものを作成し、それに基づき、学習者を TlaP に導くようなシステムを構築する。
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Causes of Carryover |
昨年度、今年度と続けて新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、出張が全くできず、セミナーの講演をお願いするのも難しかった。また、学生に対する聞き取り調査の謝金も予算に計上していたが、これも上述の事情で実施が憚られた。
研究計画に遅れが生じ、アプリケーションの開発を行わなかった。
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Research Products
(2 results)