2020 Fiscal Year Research-status Report
科学技術社会における意思決定と合意形成に対応する科学教育・環境教育プログラム
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20K03214
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
福井 智紀 麻布大学, 生命・環境科学部, 准教授 (00367244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 隆 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (20782163)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 科学教育 / 理科教育 / 環境教育 / STS教育 / 科学技術社会論 / 意思決定 / 合意形成 / 市民参加型手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、科学技術社会において求められている意思決定と合意形成に必要な資質・能力を科学教育・環境教育・ESD・SDGsの視点から再検討し、その資質・能力を育成するための具体的なプログラム開発・教材開発を行うことを目的としている。併せて、補助教材・指導資料や教員養成・研修用プログラムを開発することも目指している。 本研究の目的を達成するために、初年度は、情報収集・整理分析と開発準備の段階として考え、当初の研究計画に従い、(1)意思決定・合意形成を視野に入れたプログラム・教材の先行研究の分析、(2)科学技術社会において焦点を当てるべき喫緊の課題の整理、(3)学校教育の観点から教材化すべき内容とそのレベルの検討、(4)意思決定や合意形成を促すために適切な教育手法の検討、のそれぞれに含まれる研究作業に取り組んできた。また、(5)プログラム・教材の試行版や補助教材等の開発、(6)プログラム・教材の試行による活用効果の評価と改善点の明確化、にも取り組んだ。 以上のうち、(5)及び(6)としては、ペットの再生医療に焦点を当てつつコンセンサス会議の手法を活用した中学校理科のオンライン教材と、野良ネコの一生に焦点を当てつつ意思決定と課題解決を体験するゲーム型冊子教材について、それぞれ試行版を開発した。また、意志決定・合意形成を組み込んだ理科教材を指導者が作成できるようになるための、研修プログラム・ マニュアルの試行版も開発した。さらに、本研究課題の採択以前に開発した、ペットのゲノム編集等による改変(デザイナーペット)に焦点を当てつつコンセンサス会議の手法を活用した中学校理科の教材について、実際の中学生を対象とした試行授業を実施した。 また、(1)~(4)については、次年度以降の本格的なプログラム開発段階の基盤となる情報等を収集・整理分析することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ禍の影響により、日常的な研究作業、打合わせ、教材の試行等において、当初の計画外の制約が生じた。しかし、ICT・オンライン活用によって柔軟に研究作業を進めるよう努めた結果、今年度の研究計画は概ね達成することができたと考える。また、オンライン教材の開発に挑戦したことで、研究の幅を広げることにつながったと考える。 具体的には、プログラム開発の準備段階として、先行研究の分析、科学技術社会の課題整理、教材化内容とレベルの検討、適切な教育手法の検討、に含まれる研究作業に取り組んできたことで、次年度以降の本格的なプログラム開発の基盤となる情報等を収集・整理分析することができた。さらに、ペットの再生医療に焦点を当てつつコンセンサス会議の手法を活用した中学校理科のオンライン教材と、野良ネコの一生に焦点を当てつつ意思決定と課題解決を体験するゲーム型冊子教材について、それぞれ試行版を開発した。また、意志決定・合意形成を組み込んだ理科教材を指導者が作成できるようになるための、研修プログラム・ マニュアルの試行版も開発した。さらに、本研究課題の採択以前に開発した、ペットのゲノム編集等による改変(デザイナーペット)に焦点を当てつつコンセンサス会議の手法を活用した中学校理科の教材について、実際の中学生を対象とした試行授業を実施した。 以上により、今年度の研究作業の進捗状況は、次年度以降における研究課題の達成に向けて、おおむね順調に進展していると評価できる。ただし、ここまでの研究実績について、研究成果としての関連学会等での公表は十分ではないため、次年度以降は、研究作業を遂行しつつ、そこまでの成果の口頭発表や論文投稿も随時行っていくことが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度に引き続き、最新の科学技術の成果や課題、科学技術政策の動向等にも注目しながら、情報収集・整理分析と開発準備を継続していく。そのうえで、新たなプログラム・教材の試行版や補助教材等を開発していく。 本研究の遂行にあたっては、今年度と同様、複数の現職教員から学校現場の意見や試行・評価における協力をいただき、実践的なプログラム開発を推進していく。さらに、研究室の大学院生・学生などにも(研究指導の一環として及び他の学業に支障がなく当人からの同意が得られることを前提として)協力をいただくことで、効率的に研究作業を推進していきたい。 さらに、ここまでの研究実績について、研究成果として関連学会等における口頭発表や論文投稿を行っていく。
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Causes of Carryover |
おおむね順調に研究作業を遂行してきたが、新型コロナ禍の影響により、学会出張や研究協力者への作業の依頼等については、当初の研究計画に対して柔軟に変更を行った。そのため、一部の金額が未使用となり次年度使用額として生じた。 次年度においては、新型コロナ禍の動向に留意しつつ、前年度に作業依頼できなかったものを今年度に依頼すること等により、計画的に経費を執行していき、確実な研究実績につなげていきたいと考えている。
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Remarks |
本研究課題の一部に位置づけられる研究成果(中間発表)として、研究協力者が以下の発表を行った。 西愛未(麻布大学環境保健学研究科)「ヒト・動物・環境の関係についての俯瞰的理解を促す理科教育プログラム開発のための基礎的研究」日本環境教育学会第15回関東支部大会における修士論文・博士論文等合同発表会、2021年3月20日、オンライン口頭発表
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