2020 Fiscal Year Research-status Report
小・中学校でも利用可能な放射線教育プラスチック検出器の開発と教育モデルの構築
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20K03219
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
石川 一平 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10511735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 淳志 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30402663)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放射線教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で提案するプラスチック検出器を用いた放射線教育は,複雑な回路を要しないので構造が簡単であり取り扱いが容易,そして可視化原理が安定している特徴を持つ。この提案するプラスチック検出器を用いた放射線教育方法は高校,大学等の放射線教育の授業等で取り入れられてきているが,小・中学校では,「劇物」である薬品を使うため安全性の面で敬遠されている。そこで,本研究では,溶けやすさを調整することで危険性を低減させ,小・中学校でも利用可能なプラスチック教材を開発する。さらに,教育モデルの構築を行うことで,小・中学校での利用普及を目指している。 プラスチック検出器は,ADCモノマーとIPPという重合開始剤の混合溶液を電気炉で加熱することで製造できる。本研究では,この混合溶液に重合禁止剤を微小量添加することで,溶けやすさの調整を試みた。重合禁止剤は光や熱の影響によって重合を起こしやすい物質に添加することで,重合反応を阻害する試薬である。そのため,添加しないときと比較すると,結合が緩くなることが期待される。重合禁止剤の量が過多であれば,重合が不完全となり表面荒れや,溶けすぎにより観測が困難なものとなってしまった。しかし,重合禁止剤を添加しない場合と,添加した場合では,後者の方が溶けやすくなっており,エッチピット(放射線の損傷)の直径が大きくなった。概ね,良好な結果が得られており,引き続き,その周辺の実験データを取っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重合禁止剤を微量添加して溶けやすさを調整したプラスチック検出器は,実験時間の短縮あるいは化学薬品の濃度を下げることが可能であり,危険性を低減させることができるため,おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に引き続き,プラスチック検出器の製造段階で,微量の重合禁止剤を添加し,その最適条件を見出していく。また,これまでの研究で得たエタノール添加との組み合わせも可能だと考えられるため,検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により物流の停滞,および出張制限により残余が生じた。この余剰は,次年度の実験消耗品や旅費に充て,当初目的を達成するための研究費として使用する。
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