2020 Fiscal Year Research-status Report
教育内容の特徴を生かして深い学びを実現する小・中学校の物質学習
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20K03222
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
菊地 洋一 岩手大学, 教育学部, 教授 (50241493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久坂 哲也 岩手大学, 教育学部, 准教授 (00779944)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 物質学習 / 小学校 / 中学校 / 深い学び / 教育内容 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンピテンシーの育成を目指す教育の構築において,教育内容の構造や特徴などとのすり合わせが重要になってくる.本研究は,上記の観点から小・中学校の物質学習について内容論的考察に基づき,その特徴と系統性を生かす中で,より着実で効果的な深い学びの実現に向けた物質学習の全体構想と授業の開発を行うことを目的としている. 令和2年度は本研究の初年度である.はじめに研究メンバーの全体会合を開き,研究の趣旨,計画,担当等の協議を行う予定であったが,コロナウイルス感染症の影響で全体的な対面での協議は避け,書面とオンライン会議で協議しながら研究を進めた.具体的な内容と成果は以下の通りである. 1.物質学習の内容と,深い学びの実現に向けた代表的な授業パターンとの関係を整理することに着手した.このことは,本研究を通して具体的な授業開発等を行いながら随時更新していく課題である. 2.上記1のいくつかの代表的な授業パターンについて,具体的な授業を構想し,授業実践を行った.例えば,応用的な事象・トピックについて課題を設定し問題解決を図る授業の例として,身近な素材である知育菓子(ねるねるねるね)の謎に迫る授業(化学反応の授業)の開発を行った. 3.物質を理解する上で大変重要な概念であるが,現在の義務教育ではしっかりと扱われていない事象(有機物と分子,化学結合など)について,義務教育段階で学習することのメリットや取り扱い方について検討を行った. 4.深い学びを目指す授業は,理科が苦手な学習者には理解しにくい授業になる場合も想定される.よってこれまで以上に学習者が確かな理解を得るための方策が必要になる.このことを念頭にICTの活用,メタ認知的支援,学び合いを組み入れた授業の在り方について検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で活動が制限されることも多いが,その中で,物質学習の全体構想および具体的な授業場面の教材開発・授業開発の両面において検討を行い,良好な成果を得ている.またICT活用やメタ認知的支援による授業改善に向けた検討も行った.コロナ禍の影響を受けつつも可能な限り研究を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って研究を進める.令和2年度の研究成果を生かしてさらに具体的な授業 研究と全体構想の両面で研究を進める.その際,ICT活用やメタ認知的支援のあり方についても検討を続け,学習者が自ら学ぶ意欲を高めながら確かな理解が得られる授業方策を組み込みたいと考えている. 研究チームは,大学教員(化学,理科教育),教育行政,小中学校教員等の多様な人材で構成されていることから,それぞれの専門性を活かしながら協力体制をとって研究を推進したい. 研究メンバーの研究会は対面で行うことが望ましいが,令和3年度においてもコロナ禍の影響で出張制限があると考えられる.よって部分的には対面での協議を行い,全体では電子メールとオンライン会議等を使いながら 研究を進めていく.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は,コロナ禍の影響により研究会や学会等の出張を行うことができなかったためである.次年度は研究中間年として多くの授業実践を行う予定であり,それに必要な教材の購入費や開発費を充実させたいと考えている.
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