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2022 Fiscal Year Research-status Report

SDGs時代に対応した野外フィールドでの体験型土壌教育パッケージの開発と評価

Research Project

Project/Area Number 20K03223
Research InstitutionUtsunomiya University

Principal Investigator

平井 英明  宇都宮大学, 農学部, 教授 (20208804)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 白石 智子  宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (00453994)
出口 明子  宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (70515981)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords土の親しみの尺度 / 泥団子 / 土の癒しの効果(アメニティ) / カレー一杯の白米 / 命を支える土壌の質量 / 体験型土壌教育プログラム
Outline of Annual Research Achievements

コロナウイルス感染症の蔓延の中で体験型土壌教育プログラムへの入門として、市販の泥団子キットを活用して泥団子作りを通じて、その作製する前後における土への親しみが変化するかどうかに関する検証を行った研究結果を論文化し、土壌肥料学雑誌に投稿し受理された。この論文では、土への親しみの尺度を、研究分担者および研究協力者とともに予備的尺度として作成した点に新規性がある。この尺度を用いて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策により遠隔授業の受講を余儀なくされている大学生を対象に,市販製品を利用した泥団子作りの心理的効果について検証した.その結果、泥団子作製前後において,土に関する感情・認知については,土に触ることをポジティブに捉える方向へ変化し,土の特徴を“きれい” と評価する程度が上がり,“きたない”,“くさい” と評価する程度が低下した.泥団子を作製するという疑似的体験であっても,土への親しみが向上する傾向がみられた.これに引き続いて、カレーライス 1 杯に必要なコメを生産する土の面積と質量の作物・土壌学的調査と題して、同雑誌に論文として投稿した。この論文の内容は、宇都宮大学農学部附属農場において30年以上、牛ふん堆肥を連用している水田、化学肥料を連用している水田、稲わらを除去した無肥料の水田において栽培された水稲(ゆうだい21)の生育収量や土壌の質量より、常日頃口にしている白米がどれぐらいの面積や質量の土地や土壌によって生産されているのかを定量的に示す内容となっている。この研究結果を活用すれば、例えば市販のパック御飯を教材として、その御飯を生み出す水稲が生産されている土地の面積、土壌の質量を実感することができるような体験的土壌教育プログラムパッケージの開発につながる。令和4年度は、これらの研究論文内容を踏まえた、体験的土壌教育プログラムを考案し、高校生に対して実践した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

コロナウイルス感染症の蔓延下では、体験型土壌教育プログラムの野外での実践が困難であった。このため、土の親しみの尺度を予備的尺度として開発し、体験型土壌教育プログラムを野外フィールドで実践することができない社会環境の中における、土を疑似体験するプログラムを、市販の泥団子キットを用いて開発した。さらに、土、砂、シュレッダーダストを、ビニル袋に充填して、教室内で3種類の対象物に素手で触れる体験的プログラムを実践し、土の親しみの尺度を活用した、触れる前後の心理的な変化を調査した。さらに、野外フィールドにおいて土壌に触れ、感じる様子を動画に収め、それを視聴する動画教材の開発やそこで直接触れている落葉が分解した腐葉土を高校生が自宅で体験的に触れるという体験的な土壌教育法の開発にも取り組んできた。コロナウイルス感染症の中にあっても、これらの工夫をしながら研究計画の目的の達成に向けて取り組んできた。加えて「泥団子キットを用いた疑似的土体験の心理的効果-体験型土壌教育プログラムへの導入教材として-」、「カレーライス 1 杯に必要なコメを生産する土の面積と質量の作物・土壌学的調査」という2つの論文を投稿することで、土の親しみの尺度の有用性やカレーライスを用いた体験的土壌教育プログラムの作物学・土壌学的側面から解析することで、自分自身の命を支えている土壌を実感を伴いながら定量的に理解する方法を示すことができた。加えて、令和4年度は、これまで実施してきた内容を、農学部附属農場において4日間にわたって複数の体験的土壌教育プログラムパッケージを開発し、高校生に対して実践した。以上の取り組みから、体験的土壌教育プログラムの開発・実践の観点、そして、本プログラムを受講した児童生徒・一般成人が定量的に理解する学術的根拠を示すことができた点を考慮すると、研究がおおむね順調に進んでいると考えられた。

Strategy for Future Research Activity

現在投稿している「カレーライス 1 杯に必要なコメを生産する土の面積と質量の作物・土壌学的調査」が現在審査中であるため、この論文の審査結果が出た後、受理することができるように共同研究者と議論を重ねながら取り組んでいく。袋に入れた「土」、「砂」、「シュレッダーをかけた紙」に触れる前後での心理変化に関する研究では、1クラスの高校生をランダムに3つのグループに分け、異なる3種類の袋に触れてもらうような土に触れる体験の前後での心理変化に関する研究を、3つのクラスで行った。この研究結果に関しては、一般心理尺度および土の親しみの尺度の2つの尺度を用いているため、土に触れる前後での心理変化をより詳細に解析できる。このデータを次年度は自由記述共に、統計的な解釈を行い共同研究者間で議論を繰り返しながら原著論文として投稿する。泥団子作りにより疑似的土体験を行った前後の心理変化の内容、さらに、室内でビニル袋に入れた土や市販の砂に触れた前後の心理変化の内容に関する研究結果を踏まえて、附属農場における体験型土壌教育プログラムパッケージを開発し実践した。その実践は、4回実施されており、それぞれ、一般心理尺度、土の親しみの尺度を用いて、体験型土壌教育プログラムを受講した前後での心理変化のデータを取得できている。さらに、前後のコンセプトマップやリフレクションシートのデータを取得することができている。加えて、TAとして参画した大学生や研究支援員が、受講した高校生を観察した結果を取りまとめ、各回に設定された体験型土壌教育プログラムの目標に関する達成度を評価してもらった。以上のデータを取りまとめた上で、理科教育、心理学を専門とする共同研究者に対して、上記の体験型土壌教育プログラムパッケージを説明し、この体験型土壌教育プログラムの評価を行う。この評価に基づき学術論文作成を行い研究成果の公表に努める。

Causes of Carryover

コロナウイルス感染症の蔓延により、予定されていた野外フィールドでの体験型土壌教育プログラムの実施が順延となった。この代替措置として疑似的な土体験のために、家庭内で実施できる市販のキットを活用した泥団子作りを大学生に行っていただいたり、野外フィールドで撮影した落葉が分解生成した堆肥や落葉広葉樹林の中を歩く動画を、高校生に視聴してもらった。さらに、附属農場におけるカレーライス一杯のお米を栽培するために必要な水稲や土地の面積や土壌の質量に関する論文を作成し投稿したが、現在審査中である。このため、投稿に必要な経費を支出することができなかったために次年度使用額が生じた。加えて、野外フィールドにおける体験的土壌教育プログラムパッケージを、令和4年度になって、附属農場の多様な自然や農地において実施することができ、参加した高校生に対して土への親しみの尺度や一般心理尺度を活用した心理アンケートを実施することができた。この体験型土壌教育プログラムパッケージを共同研究者である理科教育分野や心理学の専門家により体感していただきながら検証・評価を実施することが今年度実施できず、学会発表がかなわなかったため次年度使用額が生じた。次年度にその検証を実施し学会での発表を行う計画である。以上、令和4年度実施できなかった論文投稿とプログラムパッケージの検証・評価の実施により本研究費の使用を計画している。

  • Research Products

    (8 results)

All 2022 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results) Remarks (2 results)

  • [Journal Article] 土壌教育の国際ガイドラインの理念はこれだー土壌教育の国際ガイドラインの理念と内容はこれだ!~持続可能な社会の創り手の育成に向けて~2022

    • Author(s)
      平井英明, 赤羽幾子, 森圭子, 藤間充, 浅野眞希, 浅野陽樹, 若林正吉
    • Journal Title

      日本土壌肥料学雑誌

      Volume: 93 Pages: 321-331

    • DOI

      10.20710/dojo.93.5_321

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 学習者の文化環境に目を向ける-「土壌教育の国際ガイドライン」の理念におけるLearner focus の意義-“自分事として土をとらえる感性を育むために-「土壌教育はなぜ必要なのか」を考える”2022

    • Author(s)
      平井英明
    • Organizer
      日本土壌肥料学会東京大会
  • [Presentation] 土の必要性を伝えるために学校教育の現状を考える-学校教育における土壌教育の現状と土を扱う技術科教育の課題-,“自分事として土をとらえる感性を育むために-「土壌教育はなぜ必要なのか」を考える”2022

    • Author(s)
      浅野陽樹・平井英明
    • Organizer
      日本土壌肥料学会東京大会
  • [Presentation] カレー1杯に必要なコメを生産する土の体験型教育実践2022

    • Author(s)
      平井英明・出口明子・白石智子・北村里香
    • Organizer
      日本理科教育学会全国大会発表論文集(Web)
  • [Presentation] Proposal to apply the concept of Knowledge, Learner focus, Practice, and Scholarship to realize an international guideline for soil education2022

    • Author(s)
      Hirai H, Akahane I, Mori K, Toma M, Asano M, Asano Y, Wakabayashi S.
    • Organizer
      22 World Congress of Soil Science at Glasgow
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] What universal contents do we need for the international soil education guideline in preschool, primary school, and secondary school.2022

    • Author(s)
      Mori K, Hirai H, Akahane, Toma M, Asano M, Asano Y, Wakabayashi S.
    • Organizer
      22 World Congress of Soil Science at Glasgow
    • Int'l Joint Research
  • [Remarks] 土壌モノリス展-日本の代表的な土壌の横顔

    • URL

      https://www.esafs-support.com/video-of-soil-profile

  • [Remarks] 「日本の代表的な土壌モノリス」の展示と解説

    • URL

      https://jssspn.jp/info/secretariat/202291315.html

URL: 

Published: 2023-12-25  

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