2023 Fiscal Year Research-status Report
数式検索技術を核とした数学学習援用システムの開発とその学習分析
Project/Area Number |
20K03225
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
宮崎 佳典 静岡大学, 情報学部, 教授 (00308701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 省作 立命館大学, 文学部, 教授 (00325549)
中村 泰之 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (70273208)
新谷 誠 静岡大学, 情報学部, 教授 (70303526)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 数式検索 / 学習援用 / 学習分析 / STEM教育 / 学習履歴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,数式検索システムおよび数学学習援用環境の構築である.これは,STEM教育ならびに数理・データサイエンス教育が世界の潮流となりつつある中,同教育を実践する上では必要不可欠な数式に対して苦手意識を抱く者が多いことに対し,数式をベースに開発された数学学習援用環境を学習者や教育者に提供するものである.具体的には,数式変形の行間が読めない学習者に①変形の根拠となる公式へのアノテーション(注釈付与)機能,数式を解釈できない学習者に②(与式内の)学習項目要素の提示機能,数式展開に苦労する学習者に③適用可能な公式の自動表示機能を統合的に構築することで数学学習の足掛かりをサポートする.これら①②③を実現するために必要な,曖昧検索を含めた数式検索も基盤技術として確立することが初年度におおよそ課せられた課題であり,無事に終了した.数式検索技術は現時点でプロトタイプ作成が概ね終了し,一定の成果も得られていると考えているが,一方で,4年目を迎え,同機能に対応するアルゴリズムを精査する中でバグも複数見つかっている.さらに,我々は自己開発した数式検索システムの応用として,変形されていく数式に対し,公式適用箇所をその公式名とともにアノテートする“変形依拠公式提示機能”の開発を進展させた.さらに4年目は,AI技術を適用した,数式内の記号に対する意味推定の技術開発について取り組んでいる.数式は通常,数学テキストなどの中に自然言語と同居する形で存在するため,数式記号の並びのみを用いて意味推定を行うのではなく,前後の自然言語文も合わせた推定を行うことで,その精度向上を目指している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は,数式検索システムおよび数学学習援用環境の構築である.3年目に課せられた課題は,2年目に引き続き,具体的な数式変形の行間が読めない学習者に①変形の根拠となる公式へのアノテーション(注釈付与)機能,数式を解釈できない学習者に②(与式内の)学習項目要素の提示機能,数式展開に苦労する学習者に③適用可能な公式の自動表示機能を統合的に構築することで数学学習の足掛かりをサポートする,を実現するために必要な,数式の検索技術確立を評価・検証も含めた作業を実施し,実用可能なレベルで使用可能かどうかについても検討していくことである.一方で,新型コロナが第5類に移行したことを踏まえても,その継続的な影響により,各機能のユーザ実験に対して手をこまねいている状況であるため,その実効性が評価するには至っていない.また,2020年度,2021年度,2022年度同様に2023年度も,国際学会の開催形態がコロナ以前と比べ,大きく変化したことで発表断念を余儀なくされたことなどもあり,(発表の場が少ないことに伴う)思うように研究業績を伸ばせなかったことも事実である.本プロトタイプシステムの実証実験も実験協力者に依頼する形での実施は実現できなかった.一方で,数式の意味推定に関して,新たに自然言語文章も加味した上での推定を行うという新たな試みを展開したり,変形の根拠となる公式へのアノテーション(注釈付与)機能のパーソナライゼーションに向けた取り組みを開始させたりなど,進展も見られたことも事実である.以上を総合的に判断し「(3)やや遅れている」の評価とした.また,そのような状況を鑑み,研究期間を一年延長し,すでに認められていることもここに付記する.
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Strategy for Future Research Activity |
前項でも“【現在までの進捗状況】”について「やや遅れている」と評価しているように,申請時から予定通りに事業は進んでいるとはいいがたく,やはり上述のように当初の計画に対し,研究期間を一年延長し,すでに認められている通りではあるが,機能③は引き続き5年目に開発し,評価・検証フェーズは5年目終盤に行う.これら単体テストの後,数学学習援用システムとしての総合テストに移行し,総合評価・検証によりシステムを完成させる.フィードバックは各フェーズにおいて随時集中的に行う.数式検索技術は現時点でプロトタイプ作成が終了し一定の成果を得ている一方で,数式ならではの正規表現を加味した検索も視野に入れる必要がある.そのような場合は数式処理システムをバックグラウンドで起動・処理することも考案している(すでにWolframAlpha APIやPythonベースのSimpyを実装している).実用化に向けては,数式の前後に存在する自然言語で書かれた情報等も加味した数式語義曖昧性解消の技術は不可欠と考えており,自然言語処理を専門とする研究分担者(田中)から知見を得る.依拠公式表示,数式変形援用の両機能は学習履歴の取得,学習者の行動履歴から理解度測定まで試みる.研究分担者(中村)はWeb上の数学コンテンツ,特に作題システム開発に長年従事しており,学習履歴取得方法のみならず,その評価方法も含めた包括的な共同開発をすでに開始している.学習項目抽出機能は,その公式データベースの拡充のみならず,学習項目の洗い出しも必要となり,現在不足している線形代数の領域を長年考究する研究分担者(新谷)の力添えを受ける.さらに本プロジェクトに関連する実験は静岡大学情報学部ならびに国内大学理系学部を中心に考えており,実験デザインの構築には常日頃から数学科目を共同で教え,密に連絡を取り合う新谷との連携を中心に進めていく.
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Causes of Carryover |
学内業務が多忙を極め,予定していた研究活動に従事することが十分に叶わなかったため.また,予定していた海外出張などがいずれも取り止められてしまったため. 次年度の使用計画として,研究打ち合わせのための出張(国内),学会発表用の出張(国内,海外,またこれには,指導している研究室学生による研究発表も含まれる),サーバの購入費,整備費用,関連書籍費,実験のための謝金などを予定している.
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Research Products
(5 results)