2020 Fiscal Year Research-status Report
科学の関連する現代的諸問題に対応する資質・能力の育成に向けたカリキュラムの研究
Project/Area Number |
20K03229
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三好 美織 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80423482)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 科学教育 / カリキュラム / 資質・能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、今日の社会状況を背景として、科学の関連する現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を、小学校から高等学校に至る学校教育においていかに育成していくか、その具体的方策について検討することを目的としている。 令和2(2020)年度は、学校教育において育成すべき資質・能力の内実とその育成方策について、学校教育全般に関わる言説の文献調査と検討を行うとともに、日本の理科教育、フランス及びシンガポールの科学教育の取り組みについて、カリキュラム及び教科書の分析を行い、成果の一部をとりまとめて公表した。 日本の新しい学習指導要領では、育成すべき資質・能力について、教科等横断的に育成することが期待されるものと、理科における探究の過程における資質・能力など、教科等の枠組みに固有のものが想定されている。一方、諸外国のカリキュラムにおいて、例えば、シンガポールでは、教育の指針として「市民的リテラシー、 グローバル意識、 文化横断的スキル」、「批判的思考・創意工夫」、 「コミュニケーション、 協働、 情報スキル」からなる「21世紀のコンピテンシー」が示されており、その下で、科学教育において、「コア・アイディア」、「実践」、「価値・倫理・態度」の領域を設定し、「科学的リテラシー」の育成が目指されている。 資質・能力の育成を目指す教科書では、育成すべき資質・能力の視点から教科書の内容構成が整理されていること、資質・能力を発揮する場面を想定した学習活動や問題の提示がなされていること、などの工夫がみられた。なお、科学の関連する現代的な諸課題として、例えば、気候変動、天然資源の枯渇、テクノロジーの革新、食糧問題などが想定されていた。 国内外の文献調査と分析を通して、科学の関連する現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を育成するための具体的方策の検討に向けた、基礎的データの収集を行うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科学の関連する現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の内実、及びその育成方策について探るため、学校教育全般に関わる文献調査と検討、日本の理科教育、フランスとシンガポールにおける科学教育のカリキュラム及び教科書の分析、検討を行った。その成果の一部を取りまとめ、論文、書籍などにより公表した。一方で、コロナ禍のため、フランスとシンガポールの学校等におけるフィールドワークを延期せざるをえなかった。そのため、進捗状況をやや遅れているとしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3(2021)年度は、学校教育において育成すべき科学の関連する現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の内実、及びその育成方策について探るため、特にフランス及びオーストラリアの取り組みに着目し、文献研究を行う。具体的には次の3つを実施する。①資質・能力の内実、及びその育成方策を探るための学校教育関連文献の調査を継続し、情報を整理する。②フランス及びオーストラリアの学校における取り組みについて、科学教育を中心にカリキュラム及び教科書の分析を行う。特にフランスでは、科学教育の基盤となっている科学認識論(エピステモロジー)と学校教育におけるその取り扱いについても検討する。③中間的成果を関係学会等で発表し、有識者から意見を徴集する。なお、コロナ禍の推移を勘案しつつ、可能であれば、フランスおよびオーストラリアにおけるフィールドワークを実施する。
|
Causes of Carryover |
令和2(2020)年度に、フランス及びシンガポールの学校における資質・能力育成の取り組みについて、フィールドワークによる実態調査を行う予定としていた。しかしながら、コロナ禍により予定していたこれら両国における現地調査を実施することができず、今後に延期したため、旅費の相当分を次年度使用とすることとした。
|
Research Products
(2 results)