2020 Fiscal Year Research-status Report
中学校数学科「関数」領域における「説明」を捉える枠組みの拡張に関する基礎的研究
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20K03231
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
岩田 耕司 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (90437541)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中学校数学 / 関数 / 説明 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,中学校数学科の領域「関数」の学習における「説明」の対象を拡張し,領域「関数」の学習における「説明」を捉える枠組みを再構築することで,「説明を構成すること」の学習軌道を設計するための基礎的資料を得ることである。研究初年度としての本年度は,中学校数学科の領域「関数」の学習における「説明」の対象を明らかにすることを目的とし,研究を進めた。 結果として,まず,領域「関数」における説明の対象は,大きく(数学的探究,関数の活用)×(事実,方法,理由)の6つに分類でき,各分類に対応する問いが現行の中学校数学科教科書でも設定されていることが分かった。しかしながら,その問いの割合を調べたところ,数学的探究の文脈では,事実の説明の問い(例えば,「一次関数y=2x+3のグラフについて,どんなことがいえるでしょうか」など)や方法の説明の問い(例えば,「グラフが右の図のような直線になる一次関数の式の求め方を説明しましょう」など)はある程度設定されているものの,理由の説明の問いは極めて少ないことが分かった。また,関数の活用の文脈でも同様に,事実の説明の問い(例えば,「上の式y=6.5x+20の6.5,20は,それぞれどんなことを表しているでしょうか」など)や方法の説明の問い(例えば,「紙の枚数を数えずに各学年の生徒数ずつの束に分けるには,どうすればよいでしょうか」など)はある程度設定されているものの,理由の説明の問いは極めて少ないことが分かった。また,それら全ての問いについて,規範となる統一的な説明のモデルが設定されているわけではないことも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では,中学校数学科の領域「関数」の学習における「説明」の対象を明らかにすることを目的としていた。その目的は概ね達成していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降では,中学校数学科の領域「関数」の学習における「説明」を捉える枠組みを再構築することが主な目的となる。改訂された中学校数学科の教科書を用いて説明に関する問いの設定状況を再分析するとともに,数学的探究の文脈における理由の説明の望ましい姿を明らかにすることが主な作業課題であると考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による影響で,当初参加予定であった国際学会が一年延期となり,次年度に旅費として繰り越し,使用することにしたため。
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Research Products
(2 results)