2023 Fiscal Year Annual Research Report
探究を通した深い学びのための理科教師の教材知と学習知に関する研究
Project/Area Number |
20K03233
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渡邉 重義 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (00230962)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 探究 / 教材知 / 学習知 / 理科学習 / 教員養成 / 熟達教員 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、教員養成段階の大学生を対象として「探究」に着目した調査を行い、探究に関する考え方や知識の活用について調べた。また、教育実習後の大学生および熟達教員を対象にしたインタビュー調査を行い、教育現場での教育経験と「教材知」「学習知」の関連について分析した。その結果、研究の成果として以下のような知見を得ることができた。 教員養成段階の大学生は、探究に対してい独自のテーマを想定し、探究的な学びのための教材・教具や学習構想を準備する必要性を意識できているが、実験方法の考案や選択、予備実験、探究の対象となる事象に対する教材研究を必要とする意識は弱かった。探究的な事象に直面したときの知識の活用については、「氷のとけ方」を事例とした場合、様々な知識は引き出されたが、適切な知識を用いて論理的に説明できる大学生は少なかった。探究的な学びを導き、学習者を支援するためには、教員自身が事象を観察して関係する要因を抽出する能力を高め、必要となる知識を吟味・検討して練り上げる経験を積む必要があることが示唆された。 教育実習を終えた段階の大学生(4年生)は,授業実践における学習者との関わり合いの経験や学習者からの反応を受けて,実践の省察から改善を考える中で、自分にとって不足している「教材知」「学習知」を具体化することができていた。しかし、教材についての深い理解や教師の指導支援を裏打ちする学習方法への着目は不十分であり、実践を省察する方法に課題があることが示唆された。一方,熟達教員は,学習者への思いが根底にあるうえで教員個人に自己研鑽する姿勢があり,「教材知」「学習知」を新たな実践のための蓄財として獲得しようとしていることがわかった。また、学校現場では,教員間の学び合いが「教材知」「学習知」の習得と熟成の鍵になることが示唆された。
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Research Products
(7 results)