2023 Fiscal Year Research-status Report
社会構成主義的認知理論に基づいた災害科学コミュニケーションの確立
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20K03236
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大木 聖子 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 准教授 (40443337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮前 良平 福山市立大学, 都市経営学部, 講師 (20849830)
大門 大朗 京都大学, 防災研究所, 特別研究員(CPD) (20852164)
岩堀 卓弥 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 特別研究員(PD) (50835999) [Withdrawn]
中野 元太 京都大学, 防災研究所, 助教 (90849192)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自然災害 / 社会構成主義 / 不確実性 / コミュニケーション / 防災行動 / 災害科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は,前年度に開発した防災実動訓練を複数の学校やたんちょう釧路空港,災害報道に携わるアナウンサーを対象に実施した.また,「防災小説」については,同じ発災時刻で様々なステークホルダーに執筆してもらい,さらにそれを不特定多数に公開して朗読するイベントを実施した.以下にそれぞれの実績概要を記す. 防災実動訓練においては,「発災することの意味を構成主義的に捉えているか」に焦点を当て,訓練中の参加者の行動のほか,実施後のヒアリングを定期的に追跡する形で実施した.その結果,参加した個々人の意識変容が長期間にわたって持続していること,その多くが行動変容に至っていることが明らかになった.一方で,その個人が参加をしていない他の同僚に影響力を与えることは困難であることも分かった.このことは,防災実動訓練が組織の防災対策に影響力をもたらすためには,組織の構成員がまとまって参加する必要があることを示している. 「防災小説」については,2023年9月15日16時15分に首都直下地震が発生したという設定で,埼玉県内の中学3年生・都内公立中学校の教員・都立病院救急センターの看護師・首都圏の保育園経営者・災害報道アナウンサー・都内に親族のいる高知県の市民に執筆してもらい,それぞれが朗読した.会場には不特定多数となる100名以上が訪れ,また,インターネットでもライブ配信されて,300名近い人が聴講した.これらの聴講者にアンケートを実施して詳細に分析をしたところ,執筆していなくても自分と環境の近い人の「防災小説」から災害時を自分のこととして捉えていることが分かった.このことは上記の防災実動訓練の限界を補う効果があることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
社会構成主義と災害科学の関わりは概ね明らかになってきたが,これと論理実証主義に基づいたコミュニケーションとの相違点や,既存のサイエンス・コミュニケーションから相対的にどのように位置づけられるかについて議論を深めたい.
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Strategy for Future Research Activity |
災害科学において,社会構成主義的に理解することの重要性が明らかになってきたことを踏まえて,論理実証主義に基づいたコミュニケーション,特に,既存のサイエンス・コミュニケーションとの相違点について明らかにする.
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Causes of Carryover |
災害科学において,社会構成主義的に理解することの重要性が明らかになってきたことを踏まえて,論理実証主義に基づいたコミュニケーション,特に,既存のサイエンス・コミュニケーションとの相違点について明らかにするため.
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