2021 Fiscal Year Research-status Report
サイバーセキュリティの鎧をまとう非情報系技術者育成のための教材開発
Project/Area Number |
20K03241
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
山田 悟 石川工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (40249777)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サイバーセキュリティ / 産業制御セキュリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
現代社会において,すべての領域においてサイバーセキュリティへの対策は必須となっている.特に,サイバー攻撃者が狙う標的は,高度な知識・技術力を持っ た技術者の有する情報であり,今後育成すべき技術者像は,サイバー空間において自らの知識や技術,さらには構築したシステムを守る能力を持つ,いわばサイ バーセキュリティの鎧をまとう技術者であると言える.しかし,情報系を専門としない分野を志す学生や教育機関にとって,そうした知識を得るための時間的, 金銭的なコストはあくまでも付加的なものであるという意識が高い.また非情報系分野の学部,学科において,サイバーセキュリティを教授する教員があまりいないというのが現状である.本研究では,そうした背景のもと,サイバーセキュリティの鎧をまとう非情報系技術者を育成するために,サイバーセキュリティの 要素を組み込んだ様々な専門分野の一般的な実験・実習装置を開発することを目的とする. これまでに,実験教材として,電気・電子および機械系を学ぶ学生のための教材として,機能性デバイス作製装置およびシーケンス制御実験装置を作製した.両装置ともに,産業用制御として広く用いられているPLC(programmable logic controller)によって制御される.特にシーケンス制御実験装置は,オープンソースプ ロジェクトとして開発されているOpenPLCを利用した.OpenPLCを利用することにより,守秘義務や製品として流通しているPLCの脆弱性などを配慮することなく,サイバー攻撃のデモを行うことができる. 昨年度は,OpenPLCを利用した産業セキュリティ教材を発展させ,各種センサーから取得したデータをデータベースに格納できるようにした.このデータベースへの攻撃を行うことで,情報漏洩や改ざんといった脅威が存在することを教育できるようにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響を受け,作製した教材を展開する予定であった学生実験が実施不可能となった.また,世界的な半導体不足の影響を受け,購入予定であった電子部品等が納入が遅れたため,教材の開発についてもやや遅れていると判断せざるを得ない. 現在は,研究計画では最終年度の行う予定であった簡易サイバーレンジの構築作業を進めており,データベース,制御機器をコントロールするHMI(Human Machine Interface)の開発が完了している.データベースには,MariaDB,HMIにはNode REDを採用した,どちらもオープンソースソフトウェアであり,構築費用も極めて安価であり,開発教材の展開について有利である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでコロナ禍と半導体不足の影響により,当初の予定よりも進捗が遅れている.半導体不足のため,調達が遅れていた教材開発用の電子部品が納入され次第,教材開発を進める予定である.部品の調達がさらに遅れる場合は,実施計画を変更し,開発済みの教材をブラッシュアップしていく. さらに本年度,石川工業高等専門学校 電気工学科の3年生に開発済教材によるセキュリティ啓蒙教育を実施し,その効果について検証を行う予定である.
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Causes of Carryover |
世界的な半導体不足のため,購入を予定していた製品が納期未定となり,予算執行が遅れた.今年度納品が可能なことを確認しており,順次購入を予定している. また,コロナ禍の外出制限により,情報収集のための旅費が執行できていなかった.今年度は,各種展示会等に積極的に参加する予定である.
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