2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of the model program that contributes to the judgment of the value of appropriate use of cutting-edge technologies: taking the case of genome editing technology
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20K03250
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 美香 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (60555259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 恵子 京都大学, 医学研究科, 特定研究員 (10398456)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 価値判断 / ゲノム編集 / 哲学対話 |
Outline of Annual Research Achievements |
新技術の研究や利活用を適正に進めるには、技術に関する正しい理解に加え、生き物のありようや人間の生活はどうあるべきかといった価値判断が必要になる。このとき、自分の考えを理由とともに表明できることが重要になるが、市民にとっては、新技術や最先端研究は理解するだけでも難しく、どのように考え、意思決定してよいかわからないことが多い。そこで本研究では、「ゲノム編集」を題材に、市民が、新しい技術の適正な利活用に関する価値判断の際に、自分の考えを理由とともに表明できるようになるための教材とモデルプログラムの開発を目指す。 初年度となる令和2年度は、①小冊子の作成、②考えるための問いかけツールの作成、③モデルプログラムの設計に取り組むため、先行事例やツールに関する情報収集を幅広く実施するとともに、以下の内容について具体的に検討した。 ①小冊子は「ゲノム編集ってなんだ(案)」と題し、前半では科学的知識の解説、その後、倫理的・法的・社会的課題について紹介することとした。続けて、解決すべき課題の提示、「考える枠組み」を紹介する構成とし、読者とともに考えるための「問いかけ方式」も取り入れることとした。また、読者層は当初高校生以上としていたが、近年教育現場では課題解決型学習が積極的に取り入れられているため、中学生も読者として想定することを検討した。②考えるための問いかけツールとしては、「マンダラチャート」の形式を用い、生命倫理の四原則を活用するほか、他者との対話実践のひとつである「哲学対話」(こども向けは「こども哲学」)の方法論を応用する可能性を模索した。③モデルプログラムについては、中高生で45分~50分、大学生・一般市民で60分~90分を1コマとする授業を想定し、科学的知識の修得、倫理的な課題を把握に続き、解決すべき課題について、小冊子やマンダラチャートなどのツールを教材とした内容を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は新型コロナ感染症の発生に伴い、緊急事態宣言下での在宅勤務が取り入れられ、現実的には(特に初回の宣言発令下においては)研究ペースに遅れを来たした時期があったこと、また、後期には遠隔方式による活動に慣れて来たものの、対面による情報収集に制限が生じ、当初予定していたペースでの研究実施が一部拒まれたことから「やや遅れている」との評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降、具体的な実践例に関する情報法収集を継続するとともに、小冊子の原稿執筆を進める。また文字から得られる情報に加え、「いのち」に関するテーマを俯瞰的に検討する際に役立つツールの先行事例の調査も必要であることから、次年度にかけても引き続き情報収集し、得られた先行事例をもとに、小冊子以外の形式(マンガ冊子、絵本、カードゲームなど)の可能性について検討する。作成した案の小冊子、マンダラチャートなどツール類の開発に当たっては、専門家の助言に基づき改善につなげる。また、小冊子内容やツール類の使い勝手、教育プログラムの内容に関しては、実際に第三者による評価を受けることを目指し、中・高・大学生や一般の方の協力を依頼することも含め検討を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の発生に伴い、緊急事態宣言下での在宅勤務が取り入れられたものの、現実的には(特に初回の宣言発令下においては)研究ペースに遅れを来たした時期があったこと、また、後期には遠隔方式による活動に慣れて来たものの、対面による情報収集に制限が生じ、当初予定していたペースでの予算消化ができず、次年度使用の必要が生じた。 次年度以降、ペースを上げて取り組むとともに、対面にこだわらず、遠隔方式を積極的に活用することとし、そのための通信環境整備も含めて予算を使用するとともに、必要な情報収集や制作物の評価の実施を計画する。
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