2020 Fiscal Year Research-status Report
「道場」の機能に基づく持続可能な科学コミュニケーションの場づくり
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20K03252
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
祇園 景子 神戸大学, バリュースクール, 助教 (70533404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 直人 神戸大学, 工学研究科, 教授 (50223954)
鶴田 宏樹 神戸大学, 学術・産業イノベーション創造本部, 准教授 (20346282)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 道場 / 科学コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
道場の起源である仏教曼荼羅,特に大乗仏教の階層構造に着目して文献を調査した.高度で専門的な修行を積む出家信者集団と戒律はあるものの日々働いて生活している在家信者集団をつなぐ存在として現れた菩薩集団の起源と役割を整理することを試みた.菩薩集団とは,ストゥーパ(仏塔)の建立・管理運営・供養など担うために集まってきた在家信者集団である.彼らは経典を編纂したり儀礼を整備し,それが後の大乗仏教へ発展していくこととなった.そのようなことができたのは,① 在家信者集団の取り組みに協力する進歩的な出家信者たちがいた,② 在家信者たちの中から一時的に出家して修行し,帰ってくる者がいたことにより,出家信者の高度で専門的な修行と学問を在家信者たちが実践できるように変化させたからだと言える.すなわち,出家信者集団と在家信者集団を行き来する人が現れ,出家信者集団でも在家信者集団でもない中間に位置する階層が生まれたことが大きな要因となっている.このような菩薩集団の役割は,現代社会に置き換えると,専門家と非専門家をつなぐ科学コミュニケーターの役割と重ねることができる. 一方,現代社会における柔道や剣道などの武道を修める道場では段級位制度が採用され,熟達者から未熟者までを階層化している.知識や技術が高度化・専門化すると,それらの伝承・継承には階層化したシステムを取る傾向にあると言える.道場では,この階層化した段級位制度を向上心や好奇心の喚起と関連させることで,熟達者と未熟者とのコミュニケーションを促すシステムとして機能している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた道場の機能分析をおおむね完了した.現在,論文を執筆中である.
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Strategy for Future Research Activity |
道場の必要機能と科学コミュニケーションの必要機能を比較し,科学コミュニケーションの場を検討する.また,階層性の視点から科学コミュニケーションを分析することを試みる予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響で,予定していた出張ができなかったため,次年度の出張旅費に充てる.また,ワークショップ実施の際の感染予防策,並びに,オンラインでのワークショップ・会議に必要な物品の購入などに充てる予定である.
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Research Products
(1 results)