2022 Fiscal Year Annual Research Report
「道場」の機能に基づく持続可能な科学コミュニケーションの場づくり
Project/Area Number |
20K03252
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
祇園 景子 神戸大学, バリュースクール, 准教授 (70533404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 直人 神戸大学, 工学研究科, 教授 (50223954)
鶴田 宏樹 神戸大学, 学術・産業イノベーション創造本部, 准教授 (20346282)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 科学コミュニケーション / 道場 / ネットワーク分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
道場の役割は,出家信者の代理として日常的な法事や仏教行事を取り仕切ることと,在家信者の代表として出家信者を補佐・接待することの2つが挙げられる.道場の機能には人と場所としての2面性があることから,これらに分けて整理した.前者としての機能は,①出家信者の代理として日常的な法事や仏教行事を取り仕切ることと②在家信者の代表として出家信者を補佐・接待することの2つが挙げられる.一方,後者としての機能は,①法事・仏教行事および接待を行うこと,②在家信者を収容すること,④(人としての)道場によって管理・維持されることの3つが挙げられる.なお現在では,場所としての道場は,近隣住民の寄り合い場所としての役割を果たし,一部の道場は公民館や集落センターに変容している.また,仏教の奥義を研究する場所が転じて,武芸の練習場も道場と呼ぶようになっている. 人としての道場の機能に着目すると,出家信者の代理と在家信者の代表としての機能を有している.これは,科学コミュニケーションに置き換えると,研究者の代理と一般市民の代表としての2つの役割を担う人の必要性を示唆している.このような2つの機能を担う組織の例として,宮城県牡鹿郡女川町の復興におけるFRK(女川町復興連絡協議会)を分析した.本組織は,女川町商工会の加入事業者が中心となって設立された民間組織で,水産や商業関連など5つの委員会を開いて研究者・専門家からの情報を収集するとともに,住民説明会を実施して住民からの意見を収集するなど,研究者の代理と一般市民の代表としての機能を担った.ネットワーク分析の結果,FRKが女川町内外のコミュニティを橋渡し的につなぐと同時に,FRK以外のコミュニティ同士のネットワークも密になった.すなわち,研究者の代理と一般市民の代表としての2つの役割を担う組織の存在によって,一般市民同士のネットワークを生むことが示唆された.
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Research Products
(1 results)