2021 Fiscal Year Research-status Report
幼少期から自らの健康を保持・増進できるコンピテンスを育むSTEAM教育の検討
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20K03258
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Research Institution | Shirayuri University |
Principal Investigator |
石沢 順子 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (40310445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貫 麻美 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (40531166)
稲田 結美 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (30585633)
椎橋 元貴 (椎橋げんき) 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (10788938)
渡邉 淳 金沢大学, 附属病院, 特任教授 (10307952)
佐々木 玲子 慶應義塾大学, 体育研究所(日吉), 教授 (80178673)
奈良 典子 実践女子大学, 生活科学部, 准教授 (40844840)
原口 るみ 東京学芸大学, 教育学研究科, 研究員 (60445468)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 健康教育 / STEAM教育 / コンピテンス基盤型教育 / 幼児 / 児童 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内外のカリキュラム等について、幼児期のSTEM教育を担う人材育成の視点からを検討したところ、日本ではアメリカ、イギリスに比べて保育者を目指す学生が科学的な知識を学ぶ機会が少ないことが明らかとなった。そのため、保育者養成課程においてSTEAM教育の楽しさや意義に触れる必要性があることが再確認された(日本理科教育学会)。 保育者・教育者養成課程の学生を対象とした授業において、STEAM教育の視点を活用した健康教育のプログラム立案を導入した結果、学生はSTEAM教育への理解を深め、健康教育を教える自信の向上にも有効であることが示唆された。この活動において学生が幼児から小学生を対象に考案した食と栄養に関するプログラムを検討したところ、STEAM教育の各視点が含まれており、発達段階を概ね捉えた内容となっていた。(白百合女子大学研究紀要)。 運動に関するプログラムとして「投げる」能力及び「跳ぶ」能力を育む教科横断型学習を支援する保育者・教育者養成に向けた取り組みの成果について検討した。投げる動作の観察・評価、人体模型による骨と筋肉などの構造の理解、梃子を用いた力と運動の関係を学ぶ実験などのSTEAM教育を取り入れたプログラムの体験を通して、学生は「投げること」に対するイメージを広げ、深化させたことがうかがえた(STEM in Education Conference)。同様に「跳ぶ」能力を育む教科横断型学習の取り組みでは、跳ぶことに関わる体の仕組みを理解する脚の模型づくり、遠くへ跳ぶための条件を考える紙コップロケットの実験、子ども向けの跳ぶ活動を含む遊びの企画などを行った。これらの経験により、学生は跳ぶ動作への理解を深め、子どもに対する指導への自信も向上したことから、跳ぶ能力を高めるための支援ができる保育者・教育者養成に有効であることが示唆された(白百合女子大学初等教育学科紀要)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度も新型コロナウイルス感染症蔓延の影響により、対面での打合せができなかったため、Web上で打合せや情報交換などを行い、研究の成果を論文や学会発表として公表した。また、2021度後期に大学近隣の幼児を学内に招いて行う予定だったプログラムは、まん延防止等重点措置により延期となってしまったため、2022年度前期に実施する。保育現場・教育現場において行う調査やプログラムについても再調整が必要となり、開始時期が予定より遅れている。今後はオンラインで実施可能なプログラムを含めて検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに保育者・教育者を目指す学生を対象として、運動及び食と栄養に関する内容を中心に複数の教育プログラムを考案・実践し、有効性を検証してきた。それらの成果を踏まえ、今後は幼児・児童を対象としたプログラムの試行を行う。プログラムの実践あたっては、各メンバーの専門領域(統括:石沢、体育:佐々木、自然科学:大貫・稲田、医学:渡邉、栄養:奈良、美術:椎橋、言語活動:原口、研究協力者として幼児教育:鍜治)の視点からそれぞれの活動の妥当性を精査するとともに、実施内容や方法等の改善を図る。なお、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、保育・教育現場での対面実施が難しい場合もあるため、2021年度に白百合女子大学研究紀要にまとめた保育者と研究者のオンライン協働型自然科学教育プログラムの開発のためのポイントを踏まえた上で、オンラインでも対応可能なプログラムを含めて検討する。 2021年度までに得られた国内外の健康教育やSTEAM教育の状況に関する情報を基に、日本の幼児期から児童期における健康教育で育成を目指すコンピテンスを整理し、その評価のためルーブリックについてもさらに検討を進める。 STEAM教育を活かした健康教育についての理解者・実践者を増やす活動の一環として、引き続き保育者・教育者を目指す学生を対象とした講義や活動の実践機会を設け、プログラムの種類を増やしていく。 本研究の成果は保育学会、日本科学教育学会、International STEM in Education Conference等の国内外の学会で発表するとともに、紀要等にまとめて報告する予定である。
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Causes of Carryover |
企画当初は海外での知見に関する調査や国際学会の旅費を予算に組み込んでいたが、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響により海外渡航が中止となり、予定していた調査や国際学会での発表がまだ十分にできていないため繰越が生じた。 また、対面実施を予定していた幼児・児童を対象としたプログラムは今後も対面での実施が難しい可能性があることから、繰越分はオンラインでの実施・参加に対応するための機材やソフトなどを購入や、プログラム参加者への教材郵送費などに充てる予定である。
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