2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of fully autonomous robot system for demonstration and continuous creativity education
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20K03263
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
杉浦 藤虎 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 教授 (70206407)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ロボカップ / 自律移動 / ロボット / 創造性教育 / 出張授業 / 高等専門学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
R2年度はCOVID-19の影響で,対面での活動が困難となり,残念ながら一度も校外での実演活動を行えていない。一方,AIの開発やロボットの新規作製に充てる時間を十分に取れたことで,研究成果を着実に挙げてきた。以下にその実績を述べる。 まず,協調動作によるロボットの異常箇所診断手法について述べる。サッカーロボットは全方向かつ高速移動による車輪の破損や,バッテリー電圧の低下による運動能力の低減などが必ず発生する。そのため,試合やイベント時,ロボットを交代させなくてはならない事態に備え,常にロボットを注視している必要がある。しかし,特定のロボットの破損箇所をすぐに発見,判断することは難しい。そこで,バッテリーの低下に起因したロボットの動作の鈍化や,ある車輪に不具合が起こると特定の方向に移動できなくなる事象を利用して,トラブルの重症化を未然に防ぐ対策を検討した。車輪異常の判断には,360度全方向に移動できること,また,バッテリー低下の判断には,各ロボットを一定間隔に配置し,高速に協調動作できることを確認できればよい。そこで,複数台ロボットを自転とともに公転させ,全台シンクロナイズさせることで異常箇所診断を行うシステムを導入した。現状,6台までのロボットを一定間隔に保ちながら,円運動のダンスをさせることができる。ロボットに異常が無ければ,ダンス途中でロボットを追加したり,減らしたりしても衝突しないよう,滑らかに等間隔の隊列を組むことができるため,特定のロボットの異常を客観的に素早く判別できるようになった。ダンスは実演に利用できる。 また,SSLにおいて,試合状況を分析し,画面表示と音声案内を行うゲームレポーターシステムを開発した。試合状況はウェブアプリとしてスマホ画面上にリアルタイムで案内でき,状況の変化は直ちに描画・音声に反映されるとともに,表示言語の選択機能も実装した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
完全自律実演ロボットへの応用を目指して,囲碁の世界で利用されるモンテカルロ木探索(MCTS)法とニューラルネットワーク(NN)を,ロボカップサッカー小型リーグ(SSL)用AIとしてシステムに実装した。囲碁は時間・空間ともに離散的なゲームであり,この手法をサッカーのような時系列環境に応用することは興味深い。現状,PCの性能には依存するが,ロボットでその効果の有用性を示すことはできている。また,出張授業向けに,アーティスティックダンスによる魅せるロボットシステムの開発も進んでいる。 さらに,ロボットの回路基板の新規設計を開始した。既存のロボットに搭載されている回路基板は約6年前に作製したもので,経年劣化とともに性能の見劣りがするようになってきた。例えば,センサを付加するにもポートが少ない,ロボット側とサーバPC側の情報を相互にやり取りするための双方向通信ができないなど問題があった。そこで,R2年度は,特に制御しやすい回路構成,高速な双方向通信が実現できる機能の導入を方針に掲げ,新規回路基板の設計・開発に着手した。メインプロセッサにはJetson Nanoを採用している。本プロセッサの性能は小型PC並で,ロボットにカメラを搭載できるなど機能の拡張性が高い。現時点で基板の動作確認を終え,量産に向けて最終的な調整段階にある。 また,ロボットの動作を確認,評価するためのフィールド環境を整備した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後(R3年度以降)は,R2年度中に設計した,新規回路基板の量産体制に向けた最終確認を行った上で,基板製作を外部業者に委託するとともに,追加でキック回路(ソレノイドを駆動するための昇圧回路)の設計,試作を行う。その後,試作回路の動作確認と性能検証を行い,並行してドリブル機構の設計・開発も行う。ドリブル機構はボールを保持したまま移動できるようにするロボット前部の回転機構である。現在,サッカー小型リーグでは,一部のチームがキック機構とドリブル機構を組み合わせ,カーブキックを実現している。本研究においてもカーブキックが実現できれば,AIの戦略パターンを広げ,試合を優位に進める上で有効となるだけでなく,イベント等で観客にアピールすることで,興味を持ってもらえる技術となり得る。 加えて,ドリブルバーの角度を調整できる機構や,受け取ったボールを常にドリブルバーの中央で保持できる機構を搭載するなどして,シュートやパスの高精度化やカーブキックの実現,それを用いたAIにおける効果的な戦術への応用を目指す。 現在,新規回路基板を既存ロボットに搭載し,従来通りの指令値に対して問題なく動作するか確認・検証をしており,引き続き,サッカーロボットおよびシステム全体の性能向上を目指し,開発を継続する。
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Research Products
(4 results)