2020 Fiscal Year Research-status Report
カンボジアの遺伝医療の普及へ向けた医療者と中・高校生へのヒト遺伝教育モデルの開発
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20K03270
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
佐々木 元子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (90725665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 秀彦 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (40297932)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カンボジア / ヒト遺伝教育 / 中等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はCovid-19の影響で渡航が叶わず、日本国内で行える研究を模索しつつ、研究を遂行した。 カンボジアにおける中・高校生の遺伝教育の可能性を探るために、日本とカンボジアの中等教育における遺伝領域の教科書分析を行った。使用したのは、日本の「高等学校 生物基礎」の検定教科書5社10種、「高等学校 生物」の5社5種と、カンボジアの「高等学校 生物」の国定教科書1種である。カンボジアの教科書はクメール語で記載されているため、日本語に翻訳したうえで、その中で扱われているヒトの遺伝に関する内容と、具体的な遺伝性疾患名についての比較を行った。 日本では、多くの高校生が学ぶ「高等学校 生物基礎」で扱う遺伝に関する内容としては、「情報伝達とタンパク質」に限定されており、コラムや発展的内容としてヒトの遺伝形質・疾患が扱われている教科書が一部ある。また日本の「高等学校 生物」では、「生殖細胞の形成と受精」「発生とその仕組み」「遺伝子と染色体」を扱い、ヒトの遺伝形質・疾患につての言及もあるが、履修する生徒はごく一部に限られる。一方、カンボジアの「高等学校 生物」の国定教科書では、ヒトの遺伝に関する章があり、ヒトの遺伝形質・疾患について家系図の提示のもとに「生殖細胞の形成と受精」「遺伝子と染色体」の内容が説明され、演習問題も用意されているなど充実している。 教科書比較においては、カンボジアの国定教科書ではヒトの遺伝に関する内容が充実していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19の影響で、航空会社の直行便も長く休止しており渡航が叶わず、予定通りには進んでいない。カンボジア在住の研究協力者と連絡は取れているが、学校は休校やオンライン授業になるなど、中高生のアンケートを遂行できる状況ではなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、Covid-19の影響で、プノンペンはロックダウン中である。また渡航した場合にも①E-VISA、アライバルビザの発行の停止、②72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明書、③PCR検査の義務化、④同じ航空機に陽性者がいた場合は14日間指定施設での隔離対象、⑤同じフライト全員が陰性者の場合も14日間の自主隔離、⑥全ての費用は自己負担となるためカンボジア到着時に2,000$のデポジットが必要、という状況である。 カンボジアの学校は、休校やオンライン授業が続いており、ネット環境も不安定であり、中高生のアンケートは難しい状況である。そのため、教員対象のアンケートを実際すべく、アンケートを作成しクメール語に翻訳し、倫理審査を受ける予定である。どのような方法で実施可能か、カンボジア在住の研究協力者と協議中である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、カンボジアへの渡航が叶わず、予定通りにいかなかった。 今年度は、アンケート作成、実施、解析を検討しているため、パソコンの購入を検討している。また、予定していなかった教員向けアンケートを追加で実施するため、クメール語への翻訳費用が追加で発生する予定である。カンボジアへの渡航が可能となった場合には、現地での調査を実施する。
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