2020 Fiscal Year Research-status Report
Effects of SHU-KATSU (the activity of preparation for aging and death) for successful aging among the elderly
Project/Area Number |
20K03290
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
安藤 孝敏 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (00202789)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 終活 / サクセスフル・エイジング / 時間的展望 / 生活満足度 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の終活への取り組みが自らの人生に対するポジティブな視点へとつながっていくのか、転機を含めたプロセスについて解明し、高齢者の終活がサクセスフル・エイジングへと至るモデルを提案することが本研究の目的である。 まず、高齢者を対象とする大規模質問紙調査の準備として、2019年末に神奈川県A町において実施できた予備調査のデータを分析・検討した。自由記述の回答から、「終活の理念やあり方などのイメージ作り」「知識を得るための相談の場」「物の整理から入る終活」などの内容が整理できた。 各年度に実施する終活報道の内容分析は、直近5年間(2015年から2019年)の『朝日新聞』『読売新聞』『毎日新聞』の朝刊・夕刊において「終活」という言葉を含む記事を対象として実施された。データ収集には有料のデータベースサービスを利用し、分析には計量テキスト分析ソフトウェアを使用した。その結果、抽出できた記事数は、全1,458件、うち一般記事867件、広告・告知185件、読者投稿406件であった。新聞における終活報道は、特に一般記事及び広告・告知において、葬儀・墓といった内容から、相続・遺言といった内容を重視するより、金銭的かつ法的な方向にシフトしつつあることが伺えた。だが、日常生活から終活を見る読者投稿では、物の整理・日記・手紙といった日常生活に直結する視点で終活が語られる傾向にあった。終活の意識に乖離がみられ、その違いをすりあわせていくことが今後の終活のあり方につながることが指摘できた。また、人生設計といった視点からの支援が求められているともいえる。 予備調査の分析および新聞における終活報道の動向などを踏まえて、当初の予定から1年ほど遅れているが、2021年度に実施する地域在住高齢者を対象とする大規模質問紙調査の項目を精査・準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、2020年度秋頃に地域在住高齢者を対象とする大規模質問紙調査を実施することにしていた。予備調査のデータ収集と整理・分析は順調に行われたが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、2020年4月からの1回目の緊急事態宣言発出、その後の第2波、第3波と再度の緊急事態宣言発出があり、一般の地域在住高齢者を対象とする郵送法による大規模質問紙調査の実施は見通しが立たなかった。 このような状況から、予備調査と終活報道の内容分析の結果を踏まえた調査項目の精査・準備は進めながらも、実査は2021年度へと計画を変更した。大規模質問紙調査の準備はほぼ整えられているので、2021年度早々に、倫理審査委員会への申請、調査会社への委託作業を進めることにしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
委託する調査会社に対しても感染症対策に留意することを要請し、2021年度へと変更した地域在住高齢者を対象とする大規模質問紙調査を実施する。特に、終活関連の諸項目と主観的幸福感や時間的展望等の関連から、終活が高齢者に及ぼす影響を詳細に分析・検討する。終活に関する新聞報道の内容分析は、2020年度の該当する新聞記事を対象に、計量テキスト分析ソフトウェアを使用して行う。 予備調査のデータを吟味・分析し、その成果を国内学会において発表する予定である。大規模質問紙調査の成果は、国際老年学会において発表する予定であったが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、開催が1年延期されており、国内学会における発表などの変更を検討中である。 2022年度に実施予定の終活に取り組んでいる10人程度の独居高齢者に対する聞き取り調査の準備を2021年度後半から行う。感染症対策から、対面ではなく、ビデオ会議もしくは電話による聞き取り調査の可能性も検討する。
|
Causes of Carryover |
当初の計画では、2020年度に地域在住高齢者を対象とする大規模質問紙調査を実施することにしていた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、実査は2021年度へと計画を変更した。そのために、実査にかかる調査会社委託経費などがそのまま次年度へ繰り越されることとなった。
|
Research Products
(2 results)