2020 Fiscal Year Research-status Report
高ストレス状況下での集団討議過程とその改善に関わる研究
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20K03293
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
植村 善太郎 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20340367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西口 利文 大阪産業大学, 全学教育機構, 教授 (70343655)
伊藤 崇達 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (70321148)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 集団討議 / ストレス / 会議 / 集団浅慮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、集団討議に関する研究成果の一部を著書として刊行した(西口・植村・伊藤、2020)。集団討議の性質、集団討議を用いての学習(アクティブラーニング)などについて、考察を行った。メンバー間で保有する知識量にズレが有ることが顕在化していること、ある方向の結論を志向したリーダーシップの存在などが、集団討議の質に悪影響を及ぼす可能性が高いことが考察された。この考察からは、討議において、その内容に制限を加えるような要因が、内容に悪影響を及ぼす可能性が示唆されたといえよう。 また、太平洋戦争開戦の契機の一つ、南部仏印進駐の決定過程について、当時の記録を手がかりに検討した。情報が不足しており、なおかつ、それらが共有されておらず、さらに、時間的圧力が強い状況下で議論が行われていたことがうかがわれた。ただし、こうした歴史的な意思決定に関わる会議のプロセスについては、議事録資料だけでは検討が難しいことも明らかになった。各参加者の発言の意図を判断することも困難であり、背景となる周辺の事実を調べる必要があると考えられた。現在は、こうした情報はネット上や、図書資料からある程度収集することが可能なので、こうした資料を活用して、さらに検討を進めたい。 次に、幼児の話し合い場面の観察を行い、話し合いが成立する基本条件を検討した。関心、情報の共有、適切な進行といった条件が、子どもの話し合いの成立には重要であることが示唆された。 上記のような考察を通して、集団討議過程に影響するストレス要因について、検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症蔓延の影響から、大学における授業負担が増大したこと、そして、資料収集が難しくなったことから、想定したように研究を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の状況下で研究を進行できるように、集団討議に関わる意識について、大学生を対象とした調査を実施し、やりにくさを生起させる要因について探索する事を考えている。また、zoom等のアプリケーションを用いた、遠隔での集団討議状況についての調査を行うことを検討している。
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Causes of Carryover |
感染症の世界的な流行により、研究発表や資料集のための移動が困難となり、旅費がほとんど支出されなかった。また、計画していた実験などの実施の見通しが不確実になり、必要な物品を再考する必要が生じたことから、予定したように研究費を使用しなかったためである。
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Research Products
(1 results)