2021 Fiscal Year Research-status Report
高ストレス状況下での集団討議過程とその改善に関わる研究
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20K03293
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
植村 善太郎 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20340367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西口 利文 大阪産業大学, 全学教育機構, 教授 (70343655)
伊藤 崇達 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (70321148)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 集団討議 / ストレス / 会議 / 集団浅慮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、集団討議に関する様々な研究をまとめた著書(西口・植村・伊藤、2020)における考察を基礎として、第1に、集団討議におけるストレス概念についての検討を進めた。集団内の状況、特に現場の意見を軽視する運営のあり方、成員間の協力関係の強さが、集団の不正行為の生起頻度に関連することが明らかになり(Uemura, 2021)、集団の持つ自己決定の程度、あるいは効力感が、集団討議の質に影響することが示唆された。現実の世界の中では、会議や話し合いという形をとっていても、実際には、結論の幅は狭く限定されていると感じられるケースが少なくないものと考えられる。こうしたケースでは、集団内の効力感は高まらず、結果として討議も不活発で、決定の質も高くならないことが予測される。また、例えば、裁判員裁判のような議題そのものの重要性、重大性が極めて高い状況では、それが参加者にとっては大きなストレスとなり、他者への同調性を高める可能性が考察された。こうした状況下では、自分が「よくわからない」重要なことについて、参加者としての責任を求められることが大きなストレスになり、多くの人はそれを回避し、より良い結論に到達できそうな人の意見に同調していく傾向が予測される。西口(2020)において、グループディスカッションへの参加者は、思考することへの責任を負っていると指摘されている。議題の重大性が高まるほど、この責任が大きなストレスになることは想像に難くない。 上記のような考察を通して、集団討議過程に影響するストレス要因について、検討を進めた。 第2に、集団討議でのパフォーマンスにつながる個人の内的要因として、「セルフマネジメント」に着目し、環境移行期というストレスフルな状況での課題遂行に及ぼす効果を検討した(西口、2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症蔓延の影響から、大学における授業負担が増大したこと、そして、資料収集や実験の実施が難しくなったことから、想定したように研究を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の状況下で研究を進行できるように、集団討議に関わる意識について、大学生を対象とした調査を実施し、討議のやりにくさを生起させる要因について探索する事を考えている。また、zoom等のアプリケーションを用いた、遠隔での集団討議状況についての調査を行うことを検討している。
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Causes of Carryover |
感染症の世界的な流行により、研究発表や資料集のための移動が困難となり、旅費がほとんど支出されなかった。また、計画していた実験などの実施の見通しが 不確実になり、必要な物品を再考する必要が生じたことから、予定したように研究費を使用しなかったためである。
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Research Products
(7 results)