2022 Fiscal Year Research-status Report
高ストレス状況下での集団討議過程とその改善に関わる研究
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20K03293
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
植村 善太郎 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20340367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西口 利文 大阪産業大学, 全学教育機構, 教授 (70343655)
伊藤 崇達 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (70321148)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 集団討議 / ストレス / 会議 / 集団浅慮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、集団討議に関するストレス要因を実際のデータに基づいて抽出するために、大学生を対象とした調査を行った。95名の大学生に対して、グループでの話し合いにおいて、どんなことに困難を感じるかを尋ねて、得られた回答を分類したところ、「人間関係維持に関する課題」、「自分のコミュニケーションに関する課題」、「自分の向き合い方・意識に関する課題」、「結論の出し方に関する課題」、「他成員の向き合い方・意識に関する課題」、「集団討議における環境的課題」のカテゴリーが得られた。これらのカテゴリーをさらに集約すると、「人間関係維持」と「(話し合いの)円滑な運営・進行」というさらに上位のカテゴリーを見出すことができると考察された(植村他、2022)。この2つの上位カテゴリーは、リーダーシップに関する伝統的な理論、PM理論とほぼ一致しており、可能性のある仮説が得られたと考えられる。 また、話し合いの経験を蓄積させることで、話し合いで感じるストレスにどのような変化が生じるかを検討するために、大学生154名を対象とした調査を行った。現在の大学生は、多くの人が1週間当たり1回以上のグループでの話し合い活動を高校までの授業で経験していることが明らかになった。また、週1回以上の経験をした群(124名)とそれ以下の頻度での経験をした群(30名)とを比べると、高頻度で経験した群の方が、集団討議への好意感情が高く、人間関係の維持への不安が高くなる傾向が明らかになった。これらの結果から、集団討議を促進する条件の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症蔓延の影響から、大学における授業負担が増大したこと、そして、資料収集や実験の実施が難しくなったことから、想定したように研究を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の状況下で研究を進行できるように、集団討議に関わる意識について、大学生を対象とした調査を実施し、討議のやりにくさを生起させる要因について探索する事を考えている。また、zoom等のアプリケーションを用いた、遠隔での集団討議状況についての調査を行うことを検討している。
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Causes of Carryover |
感染症の世界的な流行により、研究発表や資料集のための移動が困難となり、旅費の支出がすくなかった。また、計画していた実験などの実施の見通しが不確実になり、必要な物品を再考する必要が生じたことから、予定したように研究費を使用しなかったためである。
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Research Products
(4 results)