2021 Fiscal Year Research-status Report
他者に見える省エネ・省資源行動の包括的な意思決定プロセスの解明と促進情報の検証
Project/Area Number |
20K03296
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
村上 一真 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (40626058)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環境配慮行動 / ランダム化比較試験 / 行動経済学 / 緑のカーテン |
Outline of Annual Research Achievements |
他者に関わる要因(他者からの情報や期待、他者への同調意識や顕示意欲など)を考慮した環境配慮行動の意思決定プロセスは、十分に明らかにされていない。本研究は、他者に見える2つの環境配慮行動を対象に、「他者に関わる要因も含むことで信頼性を高めた、包括的な意思決定プロセス」を質問紙調査の分析により、まず明らかにする。その上で、それぞれで有意になった意思決定要因に対応する情報を複数設定し、どの情報の提供が2つの環境配慮行動をより促進させるかを、RCT(ランダム化比較試験)社会実験により検証するものである。 2021年度は、他者に見える2つの環境配慮行動のうち、家屋外での緑のカーテン実施について、京都府の一戸建・長屋建世帯のうち、これまで緑のカーテンを実施したことのない世帯に対し、RCT社会実験を2回実施した(事前調査、事後調査)。具体的には調査会社の京都府の登録モニターに対し、Webを通じて実施した。 1回目は緑のカーテンの種蒔き時期前の4月下旬に、各種属性、節電に係る意識や行動、地域での活動等を測定した。加えて、対象者をランダムに5つのグループに振り分け、5つの情報のいずれかを各グループに提示した。5つの情報は、緑のカーテン日本一を目指している福知山市の住民の緑のカーテン実施率を基に作成し、社会的比較の影響を検証できるように設定した。 2回目は8月下旬に1回目の回答者に対して実施し、今夏の緑のカーテンの実施有無、その判断時の意識、今夏の節電行動等を測定した。そして、各グループ間で緑のカーテン実施率の実施水準を比較検証し、緑のカーテン実施率を高める提供情報について分析・考察を進めた。 もう1つの環境配慮行動は、学校・職場への通勤・通学があって「他者に見える環境配慮行動」となる行動である。次年度の調査に向けて、他者に関わる要因を含む理論モデルに即した質問項目を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象とする他者に見える2つの環境配慮行動の研究それぞれにおいて、研究実施計画どおりに進展している。家屋外での緑のカーテン実施に係る研究は、計画通り、Web調査を実施した。 もう1つの環境配慮行動に係る研究も、計画通り、理論モデルに即した質問項目の検討を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
緑のカーテン実施に係る研究は、研究実施計画に沿って進めていく。 もう1つの環境配慮行動は、学校・職場への通勤・通学があって「他者に見える環境配慮行動」となる行動である。コロナ禍に伴う在宅勤務やリモート学習により、計画している2022年度のWeb調査が難しい可能性がある。その場合は、緑のカーテン実施に係る研究を前倒しで進め、2022年度のWeb調査は2023年度に実施することとする。
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Causes of Carryover |
想定していた作業が生じなかったため、謝金が発生しなかった。 この次年度使用額は、2022年度の人件費・謝金に充てる。
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