2020 Fiscal Year Research-status Report
起きにくいことの価値は高いか:確率と効用の相関に対する心理学的検討
Project/Area Number |
20K03300
|
Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
中村 國則 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (40572889)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 価値 / 確率 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
確率と価値の間の関連に関する実証的検討を,実験室実験,および現実場面における刺激を題材にして行う予定であったが,2020年度はコロナ禍の影響により,思うような形で実証データを収集することが困難であった.そこで本年は理論的・概念的分析を深め,不確実性や意思決定の概念がそもそも歴史的にどのような形で構成されてきたのかを改めて整理する期間とした.その中で,日本の認知科学・意思決定研究のパイオニアである戸田正直の仕事に焦点を当て,彼の研究が当時の内外の研究状況と照らし合わせてどのような意味を持っていたかを,その後の意思決定研究・認知科学的研究との展開とも関連付けて論じた.この成果は中村(2021,認知科学)で公刊する予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のために実証的分析は進まなかかったものの,理論的・概念的分析を進める時間が出来,その後の研究の展開もある程度計画することができた.2021年度はこの2020年度の計画に基づいてより円滑に進みうると期待できるため,おおむね順調と評価できるだろう.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はこのコロナ禍の影響を逆に研究対象として,コロナの感染状況という課題を用いて,様々な感染状況の評価とその客観的データの対応の分析を通じて,確率と価値との関連,ひいては人にとっての不確実性の検討を進めていくこととしたい.このような検討は大元の申請課題の検討のみならず,アフターコロナの人間心理の探求の手がかりともなるはずである.
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により,理論的・概念的検討に焦点を当てて実証的データ収集が進まなかっただけでなく,内外の学会出張費の消費がなかったためにこのような事態が生じた.コロナウィルスの感染状況が改善することが期待できる2021年は,2020年度の概念的検討の成果を踏まえ,データ取集・分析および論文化に労力を割きたい.
|
Research Products
(1 results)