自己存在感と自己認知神経基盤との関連性：メンタルヘルス応用に向けて

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K03310
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 原田 宗子 広島大学, 脳・こころ・感性科学研究センター, 特任講師 (30414022)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 自己存在感 / 自己認知の神経基盤 / fMRI

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、近年社会的に関心が高まっているメンタルヘルスケア(精神面での健康対策)の効果的な方法への手掛かりを見つけることを目指す。近年注目されている瞑想などにも見られるように、「雑念を払って自分自身に意識を向け直す」ことが一つの鍵であるように思われるが、「自分自身というものの認識の仕方が個人によって異なる可能性」やその脳内メカニズムの個人差に関しては言及されていない。
本研究では、第一段階として、自己認知及びストレス・コーピングに関連の深い複数の質問紙、及び「自己の存在を意識するときに自己のどのような側面に注意を向けるのか」に関する調査質問紙も併せて用いる行動学的実験を行い、ヒトが自己を意識するとき、すなわち「自己の存在」に注意を向けるときに、異なる個人特性によって、自己のどのような側面を重視して注意を向ける傾向があるのかという点を明らかにする予定である。続いて、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた心理生理学的実験を行うことで、「自己存在感(=自己が存在するという現実感)」の個人差と、自己に意識を向けた時の神経基盤の個人差との関連性を明らかにすることを予定している。
令和2年度には、大学生・大学院生を対象に行動学的実験を行う予定であったが、COVID-19の影響で研究室の実験が全て中止となった期間が長く、予定より大幅にデータ取得が出来なかった。その為、先ずは少数の同一実験参加者に2日間のfMRI実験に参加してもらい、自己の存在に注意を向けるという課題遂行中の脳活動がそもそも同一の個人内においてどの程度一貫した結果になるものなのかを検証する予備的実験を行った。結果では、全く同じ課題遂行中の脳活動であっても、個人内で脳活動パターンにかなりばらつきが見られるという結果が得られ、実験課題の統制にさらなる工夫が必要であることが示唆された。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究では、最終的に機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて「自己存在感(=自己が存在するという現実感)」の個人差と、自己に意識を向けた時の神経基盤の個人差との関連性を明らかにする心理生理学的実験を行う予定であるが、第一段階として、先ずは自己認知及びストレス・コーピングに関連の深い複数の質問紙、及び「自己の存在を意識するときに自己のどのような側面に注意を向けるのか」に関する調査質問紙も併せて用いる行動学的実験を行い、ヒトが自己を意識するとき、すなわち「自己の存在」に注意を向けるときに、異なる個人特性によって、自己のどのような側面を重視して注意を向ける傾向があるのかという点を明らかにする予定である。令和2年度には、大学生・大学院生を対象に行動学的実験を行う予定であったが、COVID-19の影響で研究室の実験が全て中止となった期間が長く、予定より大幅にデータ取得が出来なかった。その為、研究全体がやや遅れ気味となっているが、令和3年度には引き続き大学生・大学院生を対象に行動学的実験を行って出来るだけデータ取得を進める予定である。

Strategy for Future Research Activity

本研究の初年度である令和2年度には、COVID-19の影響で研究室の実験が全て中止となった期間が長く予定より大幅にデータ取得が出来なかった為、研究全体がやや遅れ気味となっているが、令和3年度には、大学生・大学院生を対象に、自己認知及びストレス・コーピングに関連の深い複数の質問紙、及び「自己の存在を意識するときに自己のどのような側面に注意を向けるのか」に関する調査質問紙も併せて用いる行動学的実験を引き続き行い、ヒトが自己を意識するとき、すなわち「自己の存在」に注意を向けるときに、異なる個人特性によって、自己のどのような側面を重視して注意を向ける傾向があるのかという点を明らかにする予定である。

Causes of Carryover

(理由)
本研究の初年度である令和2年度では、COVID-19の影響で研究室の実験が全て中止となった期間が長く予定より大幅にデータ取得が出来なかった為、研究全体がやや遅れ気味となっており、質問紙法を用いた行動学的実験の際に実験参加者への謝金に当てる予定であった人件費・謝金が一部未使用のままとなった。また、成果発表の為の学会参加に当てる予定であった旅費、及び論文投稿費用などに当てる予定であったその他の費用も一部未使用のままとなっている。以上の理由により、令和2年度は当初予定していた金額より大幅に令和3年度への次年度使用額が生じた。
(使用計画)
令和3年度は、大学生・大学院生を対象に、ヒトが自己を意識するとき、すなわち「自己の存在」に注意を向けるときに、異なる個人特性によって、自己のどのような側面を重視して注意を向ける傾向があるのかという点を明らかにするための行動学的実験を引き続き行う予定である。その為、令和2年度に未使用のままとなった実験参加者に当てる予定であった人件費・謝金、成果発表の為の学会参加や論文投稿に伴う費用などを令和3年度に使用予定である。