2020 Fiscal Year Research-status Report
Detecting emotional empathy with process dissociation procedure
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20K03311
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
市原 学 都留文科大学, 教養学部, 教授 (10406788)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 共感性 / 過程分離手続き |
Outline of Annual Research Achievements |
近年非意識的な感情を測定するはずの感情プライミング課題に対する反応には想定していたよりもさまざまな要因がかかわっていることが分かってきた。本研究では、反応にかかわる要因として意識的に課題の指示に従おうとする傾向であるIパラメータ、自動的にプライミング刺激に応じた感情が惹起される傾向であるUパラメータ、それからターゲット刺激の提示頻度を操作することで、反応が偏っていくBパラメータの3つを想定し、過程分離手続き(PDP)によってそれぞれの成分を抽出することを目的とする。 2020年度はPDPのうち、習慣的な反応傾向であるBパラメータに焦点を当てた実験を行った。実験では、ターゲット刺激である単語の出現割合を操作することで、習慣的に一方の反応に偏る傾向であるBパラメータが変化するかどうかを検討した。ここで、Bパラメータを習慣的に左のボタンを押す反応と定義する。そうすると、右側に左側に分類されるべき単語(本実験ではポジティブな感情価を伴う単語)の出現頻度を多くした場合、Bパラメータの値は低下する。他方、左側に分類されるべき単語の出現頻度を多くすると、Bパラメータの値は大きくなると思われる。しかし、Iパラメータは意図的な反応制御の過程であるから、習慣的形成される反応傾向とは独立であり、ターゲット刺激の出現割合の変化の影響を受けないと考えられる。また、Uパラメータは非意図的な共感反応であるため、単語の出現割合の変化に影響を受けないと考えられる。 PDPによってパラメータを算出したところ、予想通りの結果が得られた。ターゲット刺激の出現頻度を変化させたところ(実験操作)、それに応じてBパラメータの推定値も変化した。その一方で、IパラメータやUパラメータは実験操作の影響を受けなかった。この結果から、本研究で提案した、PDPモデルの妥当性についてさらなる確証を得たといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス感染爆発の影響により、大学が一時閉鎖され、実験参加者を募るのに手間がかかった。 もともと想定していたサンプルサイズ(N=150)よりも少ないサンプルサイズ(N=80程度)で研究を行わなければならなくなった。このため、結果の頑健性を確認するため追試を行う必要も出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
応募当初は現在のような状況になるとは予想していなかったため、今後研究計画の変更をせざるをえない。 具体的には唾液や皮膚電気反射(汗)などの成分分析を含む生理的データを収集する予定であったが、コロナ感染を防ぐためにはこうした実験は中止せざるをえない。 今後は、心理的行動的データに絞って実験を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染爆発により、海外出張(学会における研究成果発表)ができなくなったので、2021年度に繰り越すことにした。感染の広がりや鎮静化については予想が難しいので、今年は国内学会(日本心理学会第85回大会)にて研究発表する予定である。
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Research Products
(1 results)