2021 Fiscal Year Research-status Report
Social psychological study of third party's effects on intergroup relation
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20K03315
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
熊谷 智博 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (20400202)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 集団間関係 / 第三者集団 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、集団間関係に対して第三者が与える影響について社会心理学の観点から検討する事であった。特に第三者集団の関係が良好か敵対的かという当事者集団の認知が、被害に対する寛容性やエンパワーメントの感覚に与える影響について、2021年は検討した。具体的にはシナリオ実験法を用いて、日中の紛争に対して、第三者集団としてアメリカ、ロシア、アイスランドの三者を捜査し日本人としての反応を分析した。その結果は2つの学会で発表した。日本心理学会では第三者による代理報復が日本人の満足度及び和解的態度に与える影響を検討した。結果は代理報復国がアメリカよりも、ロシア、ロシアよりもアイスランドが代理報復を行った場合に加害者にメッセージが伝わり、それを介して和解的態度が強まった。この事から、代理報復に関わる国家間関係によって代理報復の効果が影響を受けると考えられる。また日本社会心理学会では被害者集団、加害者集団、代理報復集団の三者の「三角関係」が代理報復に対する認知及びその後の報復的態度に影響を検討した。結果は集団間代理報復による被害者集団の報復的態度は被害者-加害者集団の関係によって強く影響されるが、同時に代理報復を行った第三者集団と加害者集団との関係性認知によって調整されていた。特に第三者集団と加害者集団が非友好的であると認知された場合、代理報復による報復的態度が強かったが、これは代理報復が被害者集団の為では無く、第三者集団の敵対的態度に基づくものと解釈されたため、被害者集団にとっては満足度や公正回復が低く認知された為と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
質問紙調査による仮説の基礎的な検証が出来ているが、実験室実験による因果関係の検証、またより抽象的な集団を用いての一般性の検証が行えずにいる。更にはコロナ禍に伴い、海外でのデータ収集及び国際学会での研究成果の発表が予定通りに行えなかった。状況の改善に伴い、国際学会での発表と海外での調査を進めたいと考えている。データ収集に関しては予定より遅れているが、一方でその分理論的検討に時間を割くことが出来たので、全体としての研究には進展も見られる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画より遅れているものの、インターネットやZoomを活用した実験方法に切り替えることによって、研究計画において目的としていた実験等を進める予定である。昨年度はそのための情報収集に費やしてしまったが、その成果は今後の研究に反映されると思われる。
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Causes of Carryover |
前年度に実施できなかった実験と調査、及び国際学会での研究発表の旅費として執行予定。特に実験補助のアルバイトを雇う、海外での調査協力に対する経費・謝礼など支出が考えられるので、次年度の使用額は大幅に増加し、それに充当予定である。
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Research Products
(4 results)