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2022 Fiscal Year Research-status Report

A comprehensive research on cultural and biological basis for behavioral immune system

Research Project

Project/Area Number 20K03317
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

福川 康之  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90393165)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 高橋 雄介  京都大学, 教育学研究科, 准教授 (20615471)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords行動免疫 / コロナウイルス / Covid-19 / 感染嫌悪 / 二重過程モデル / 知能 / 双生児 / 行動遺伝モデル
Outline of Annual Research Achievements

「行動免疫の文化的基盤」に関して,以下の研究成果を学会で発表した.
1)コロナ禍における日本人の感染予防行動(「3密(密閉・密集・密接)」の回避,感染予防(手洗い・マスク着用)の励行,適切な生活習慣(睡眠・栄養・運動)の確保)の特徴を検討した.その結果,3密回避および感染予防は,男性よりも女性,若年者よりも高齢者の実施率が高かった.生活習慣については,睡眠と栄養は男性よりも女性,運動は女性よりも男性の実施率が高かった.
2)新型コロナウイルスの感染予防行動を予測する認知モデルを日本人の調査データを用いて検証した結果,知的機能と行動免疫特性は,それぞれ直感的な思考スタイルと負の相関を有することが明らかとなった.また,行動免疫特性が高いほど,感染予防行動をとる傾向も示された.これらの関係を共分散構造モデルに当てはめたところ,十分な適合度が示された.
3)フィリピンおよびマレーシアの男女大学生を対象として,安全性(”食中毒の心配がない”など)や自然性(“添加物が含まれていない”など)といった食物選択嗜好と感染嫌悪との関連について調査を行った.得られたデータを解析したところ,感染嫌悪は安全性や自然性への嗜好と概ね正の関連を示した.ただしこの傾向は,マレーシアの学生よりもフィリピンの学生が強いことが明らかとなった.
「行動免疫の生物的基盤」に関しては,2つの研究成果を学会で発表した.すなわち,1)日本人双生児標本から得られたデータを解析し,病原嫌悪と道徳嫌悪の遺伝的基盤について検討を行った.この結果,病原嫌悪には51%,道徳嫌悪には39%の遺伝率が確認され,それらの遺伝要因は完全に同一であった.2)行動免疫とパーソナリティ特性との関連を検討したところ,嫌悪感受性とBigFiveの間の表現型相関と弱く正に相関することが明らかとなった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2022年度の研究状況は2021年度と比べてかなり改善された.そのため「行動免疫の文化的基盤」「行動免疫の生物的基盤」いずれのテーマに関しても当初の目的に沿った研究を進めることができた.
「行動免疫の文化的基盤」に関しては,コロナ禍における日本人の感染予防行動に関する調査データを解析した結果について,国内学会で発表を行い,このパンデミックへの対応に関する日本文化の役割について考察した.さらに行動免疫傾向の発現メカニズムの国際比較の一端としてフィリピンおよびマレーシアの大学生を対象とした調査データの解析結果を国際学会で発表することもできた.
「行動免疫の生物的基盤」に関連しては,日本人双生児を対象とした調査データを行動遺伝モデルにより解析した結果を国内学会で発表することができた.ここでは行動免疫特性の遺伝・環境相関,また,行動免疫特性と道徳性との関連について,国内外でも希少な知見を示すことができた.

Strategy for Future Research Activity

想定外のパンデミックの発生により,計画の見直しと遅延を余儀なくされたが,今後は特に「行動免疫の文化的基盤」に関する検討を中心に研究を進めたい.
まず,フィリピンおよびマレーシアの大学生を対象とした調査データを解析し,行動免疫と高齢者差別(エイジズム)との関連について国際学会で発表を行う予定である.
さらに,日本人を対象とした調査データを解析し,行動免疫がエイジズムを生じさせる心理的メカニズムについて,情報処理スタイル(合理性-直観性)ないし二重過程モデルに基づいた検討を行う.
加えて,行動免疫の生理的基盤に関して,実験的手法を用いた検討を行うことを予定している.具体的には,感染嫌悪を喚起する画像と暴力脅威を喚起する画像に対する免疫反応の異同を,唾液成分の解析により比較する.これらの反応パタンの異同は,行動免疫特性や性別によって調整を受けることが仮定される.
上記の検討結果については,逐次国内外の学会で発表する.また,「行動免疫の生物的基盤」に関する成果を含め,研究初年度から明らかにしてきた知見を学術雑誌に発表すべく準備を進める.

Causes of Carryover

コロナパンデミックによる研究計画(研究費の使用内訳)の変更に伴う余剰が発生したため,繰り越しを行い,2023年度は国際学会を含む研究発表,これまでの研究成果の投稿費用,行動免疫の生理的基盤に関する新たな研究を行う費用等に充てることを計画している.

  • Research Products

    (7 results)

All 2022 Other

All Int'l Joint Research (2 results) Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] Universiti Tunku Abdul Rahman(マレーシア)

    • Country Name
      MALAYSIA
    • Counterpart Institution
      Universiti Tunku Abdul Rahman
  • [Int'l Joint Research] De La Salle University(フィリピン)

    • Country Name
      PHILIPPINES
    • Counterpart Institution
      De La Salle University
  • [Presentation] 新型コロナウイルス禍における日本人の行動変容に関する検討2022

    • Author(s)
      福川康之;栗田創一
    • Organizer
      第81回日本公衆衛生学会総会
  • [Presentation] Modeling and analysis of psychological mechanism for preventive behaviors against the COVID-192022

    • Author(s)
      Yasuyuki Fukukawa;Soichi Kurita
    • Organizer
      15th European Public Health Conference
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 行動免疫と食物嗜好との関連に文化差はあるか2022

    • Author(s)
      福川康之;瀧川諒子;Salanga M. Guadalupe;Soon-Aun Tan
    • Organizer
      日本人間行動進化学会第15回大会
  • [Presentation] 病原嫌悪と道徳嫌悪は同じ遺伝的基盤を有するか2022

    • Author(s)
      高橋雄介;平石界;栗田創一;福川康之
    • Organizer
      日本教育心理学会第64回総会
  • [Presentation] 嫌悪感受性とパーソナリティ特性の遺伝・環境相関ー嫌悪感受性は社会的学習の産物か?2022

    • Author(s)
      高橋雄介;平石界;栗田創一;福川康之
    • Organizer
      日本心理学会第86回大会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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