2022 Fiscal Year Research-status Report
潜在意識-顕在意識指標の並立測定システムの構築と近隣国への排外主義の多層性検証
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20K03319
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
潮村 公弘 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (20250649)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 潜在意識測定 / IAT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の第一の主たる目的は、1)「IAT技法を用いて測定した潜在意識指標」、2)「伝統的な尺度構成法を用いて測定した顕在意識指標」という2段階の意識レベルの測定を統合的に扱うことのできるツールを開発し、実証的な研究を進めることである。 2022年度には、この目的に沿って、韓国・韓国の国民への認知を対象として、ウェブサイト上でのIAT(Implicit Association Test)技法を用いた測定サイトでのデータ収集と、Google Forms (以下、Googleフォーム)を用いた顕在意識測定とを行い、両タイプの測定データをリンクする調査研究を実施した。現在、データ分析を進めている。 また、第二の目的は、特に、IAT技法を用いて測定する潜在意識を、(例えば、特定の大学の学生だけといった限定的な調査対象者ではなく)日本国内での多様な年齢層・多様な居住地域の人々からのデータ収集を行い、国内における年齢層や居住地域の違いといった差異について検討をすることである。 2022年度には、この目的に沿って公開されているウェブサイト上に、韓国・韓国の国民に対する認知をはじめとして、日本国内における主要なステレオタイプ的認知の対象に対する潜在意識を測定している。こちらについては、現時点においても引き続き、潜在意識データの収集を継続し、研究データを蓄積中である。 また、第三の目的である「バイアス低減方策」の検討については、現在、「バイアス低減方策」の効果について実証するための準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年は、第一の目的である「IAT技法を用いて測定した潜在意識指標」と、「伝統的な尺度構成法を用いて測定した顕在意識指標」という2段階の意識レベルの測定を統合的に取り扱うために、韓国への認知・韓国の国民への認知を対象として、ウェブサイト上でのIAT技法を用いた測定サイトでのデータと、Googleフォームを用いた顕在意識測定でのデータをリンクする調査研究を実施することができた。 また2022年には、第二の目的である、IAT技法を用いた潜在意識測定を日本国内での多様な年齢層・多様な居住地域の人々からデータ収集を行い、年齢層や居住地域の違いといった差異について検討するという目的に沿って公開されているウェブサイト上で、日本国内における主要なステレオタイプ的認知の対象に対する潜在意識変数とデモグラフィック変数の測定を継続して行っている。 これら上記の2つの目的に対応したデータ収集については、おおむね順調にデータ収集が進められてきたと言える。 その一方で、第三の目的である「バイアス低減方策」の検証については、スケジュール的な制約から2022年中には実施することができなかった。以上の3点を総合的に勘案して、現在までの進捗状況として、〔(3)やや遅れている。〕という状況であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、「IAT技法を用いた潜在意識指標」と、「伝統的な尺度構成法を用いて測定した顕在意識指標」という2段階の意識レベルの測定を統合的に取り扱うために、韓国への認知・韓国の国民への認知を対象として、ウェブサイト上でのIAT技法を用いた測定サイトでのデータと、Googleフォームを用いた顕在意識測定でのデータをリンクさせた調査研究については、データの分析を進めて、研究発表の準備を行う。 第二に、国内向けに(厳密には日本語を扱うことができる人に向けて)公開されているウェブサイト上での、日本国内における主要なステレオタイプ的認知の対象に対する潜在意識変数とデモグラフィック変数の測定について、データ収集を継続する。ステレオタイプ的認知の対象テーマごとに収集データ数にばらつきがあるため、外部への研究成果発表に足るためのデータ数となるようにデータ収集・データ蓄積を継続する。 そして第三に、研究プロジェクトの第三の目的である「バイアス低減方策」の検証についての研究を進めて行く。具体的には、「バイアス低減方策」を取り上げる技法の詳細について確定した上で研究を進める。
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Causes of Carryover |
2022年度末に、363,605円の次年度使用額が生じた。これは、「バイアス低減方策」の検証として「想像型接触技法」と「ヒューマン・ライブラリー技法」を取り上げることを予定していたが、この「バイアス低減方策」の検討が2022年度中には日程的に間に合わなかったためである。この次年度使用額は、2023年度分の研究遂行費として使用し、「バイアス低減方策」技法について検証するための費用に充当する予定である。
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