2021 Fiscal Year Research-status Report
The carryover hypothesis of cooperative behaviour in cultural group selection theory
Project/Area Number |
20K03323
|
Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
中西 大輔 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (30368766)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 裕美 東北福祉大学, 総合福祉学部, 助教 (70848853)
井川 純一 大分大学, 経済学部, 准教授 (90748401)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 多数派同調バイアス / 文化的群淘汰 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度には調査を中心に行った。調査は文化的群淘汰理論を支える多数派同調バイアスが存在するのかどうかに関して、学生を対象としたものを3つ、クラウドサービスを利用した一般人を対象としたものを3つ行った。Eriksson & Coultas (2009) に従い、正解が定義できる知識問題、定義できない態度問題という2種類の問題について、どの程度他者の意見に左右されるかを実証的に検討した。いずれの調査でも、正解が定義できる知識問題への回答にあたり、人が多数派同調バイアスを示すことが明らかとなった。データのパタンは学生を対象としたものでも、一般人を対象としたものでも大きな違いはなかった。Eriksson & Coultasでは多数派同調バイアスが示されていなかったが、それはおそらく彼らが正解の定義できない問題を主に扱っていたからであると考えられる。本研究でも正解の定義できない問題については明確な多数派同調バイアスは示されなかった。また、特に確信度が低い場合にその傾向が顕著になることが示された。これらのデータに関して、現在1本の論文が投稿中、もう1本の論文を執筆中である。
一方で、当初予定していた不確実性下における情報探索課題の開発を行うことができなかった。その代わり、当初予定していたのとは別の方法で情報探索場面における多数派同調バイアスを行動レベルで測定できる実験案を検討した。現在検討している方法を使えば、実験参加者を実験室に呼ばなくても実験実施が可能であり、新型コロナの流行の程度に左右されない方法で研究が継続できる。2022年度に実験の実施が可能と思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた行動実験プログラムの開発は行うことができなかったが、その代わり別の方法を用いることでより効率的に行動レベルでの多数派同調バイアスの程度を測定できることが分かったので、やや遅れてはいるものの、研究計画全体に与える影響は少ないものと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度には、2021年度に行った知識問題を使った調査結果を踏まえ、社会的ジレンマ状況における協力の意思決定においても、多数派同調バイアスが示されるかどうかを検討するための調査を行う予定である。続いて、行動レベルで実験参加者の多数派同調バイアスを測定する実験を行い、多数派同調バイアスの程度と社会的ジレンマ状況における協力傾向との関係を見ることで文化的群淘汰理論の成立条件について検討していく予定である。これらの検討により、人は情報探索の状況で適応的であることが既に示されている多数派同調バイアスを協力の文脈に単にキャリーオーバーしているのか、それとも、そもそも協力の文脈で多数派同調バイアスが適応的となる基盤が存在するのかを明らかにしたい。後者については得られた実証データを踏まえた新たな進化シミュレーションが必要と思われる。どのような戦略をモデルに導入するべきかも踏まえて、今年度中に検討したい。
|
Causes of Carryover |
今年度予定していた実験プログラム開発ができず、また新型コロナ流行により出張ができなかったため。2022年度の実験実施と研究発表及び研究会合費用にこの次年度使用額をあてる予定である。
|
Research Products
(4 results)