2023 Fiscal Year Research-status Report
Developing a family problem-solving program
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20K03331
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
川島 亜紀子 (小林亜紀子) 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20708333)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 家族 / 夫婦 / 発達精神病理学 / アセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,欧米を中心とした発達精神病理学的実証研究から,子どもを取り巻く家族の問題が世代を越えて持ち越され,養育環境や発達環境の格差となっていることが示唆されている。そこで,本研究の目的は子どもの健やかな発達を保障するため,家族リスクの比較的低い対象に対する普遍性の高い,実証的に意味のある家庭生活教育を構築し,比較的ハイリスクな状態にある家族に対する効果的な介入方法を検証することである。 そのために,令和5年度ではリスク評価のためのアセスメント・ツールを作成することを目的とし,夫婦間の支配―被支配関係にかかわるとされる夫婦関係における平等性を測定する尺度(Intimate Jusitice Scale(Jory, 2001;川島,2022),夫婦間暴力にかかわるアセスメント・ツール)の日本語版開発を令和4年度から継続して行った。令和5年度ではこれをもとに,さらにオンライン調査によりデータを収集,インタビュー調査を実施し,アセスメント・ツールの妥当性の検証を行った。その結果,欧米で開発されたアセスメント・ツールをそのまま翻訳するだけでは不十分であり,日本の文化に照らし合わせて尺度の改善を図る必要性が示された。このことから,最終年度には当該尺度の開発者と共同し,日本版の夫婦関係における平等性尺度を検討する予定である。 また,夫婦間のポジティブな側面である夫婦関係の調整能力(Dyadic Coping Scale, Bodenmann, 2008; 川島・吉武・菅原,2014)を検討するための夫婦間コーピングについても調査を実施し,尺度の検証を行った。これらについては,最終年度中に結果を取りまとめ,結果の公表を行う予定である。 以上のように,多面的な視点から夫婦関係を捉えるための調査を重ねており,これらを踏まえて子どもを含む家族全体のウェルビーイングについて検討し,さらに介入プログラムの社会実装可能性について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
欧米で検証された夫婦関係やそれへの介入をモデルに検討を行ってきたが,得られた結果が予想と異なるものであったため,改めてアセスメント・ツールの内容や測定方法,介入プログラムの在り方について検討する必要があると考え,継続的に発展させる方向での計画を見直そうとした結果,研究に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り,わが国の夫婦や家族の実態に即したモデルの作成が必須であり,最終年度である令和6年度は,国内外の研究者と共同しながら,日本の社会に実装可能なアセスメント・ツールならびに支援方法の検討を行いたいと考える。
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Causes of Carryover |
コロナ渦の影響により,国際学会の開催年度が当初予定されたものからずれが生じたため,次年度に使用を延期し,令和6年度の国際学会参加にて使用する予定である。その他については,最終年度である令和6年度に研究成果の公開にかかわる費用として使用する計画である。
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