2023 Fiscal Year Research-status Report
いじめ被害児童生徒の援助要請に焦点を当てた教師用「いじめ研修プログラム」の開発
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20K03334
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
水野 治久 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 教授 (80282937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 智 立正大学, 心理学部, 教授 (20513170)
本田 真大 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40579140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | いじめ被害感 / 援助要請 / 教師への援助要請 / SOSの出し方教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究フィールドとしているA教育委員会から,教師対象の「児童からのSOSの受けとめ方教育」及び児童対象の「SOSの出し方教育」の必要性が指摘された。そのため,令和5年度は「教師用いじめ研修プログラム」として,「SOSの受けとめ方教育」を開発した。その前提となるいじめ被害の早期解決の試みとして「SOSの出し方教育」を,小学校高学年対象に実践した。「SOSの出し方教育」は,援助要請のプロセスを紹介し,次に,事例研究から,援助要請の抵抗感を気づくように教材化した。そして,援助資源を紹介した(Hahn, et al.,2022)。5月の試行を経て,2月に公立小学校5年生(2学級)の一つの学級を実験群(20名),もう一つの学級を待機群(18名)に設定した。効果測定には,藤原ら(2016)の児童用援助要請行動尺度,及び永井・新井(2008)の相談行動の利益・コスト尺度の「ポジティブな効果因子」の項目を一部改定したものを使用した。なお,待機群については,介入群の同一の時間帯の通常の授業の前後に測定した。その結果,援助要請行動尺度得点については,介入群の介入前の平均値(SD)が2.66(0.59),介入後が2.82(0.60)であった。待機群は,事前測定が2.80(0.49),事後測定が2.93(0.50)であった。ポジティブな効果得点については,介入群の介入前が4.26(0.75),介入後が4.31(0.78)であった。待機群は,事前測定が4.40(0.64),事後測定が4.45(0.64)であった。介入群の尺度得点の変化の程度は,待機群と比較し,有意な変化はなかった。プログラムの効果は確認できなかった。教師対象の「SOSの受けとめ方教育」については,現在,教師の研修コンテンツとして開発中である。A教育委員会の小学校の担任を対象に実践をする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍を経て,学校現場の状況が変化した。その変化に対応するために研究方法を再度検討した。研究機関を1年延長し,児童のいじめ被害の援助要請を促進させる取り組み(SOSの出し方教育)及び教員の児童のSOSを受け止める取り組み(SOSの受けとめ方教育)に焦点づけをして今後は研究を展開することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
A市の小学校(28校)の小学校5年生対象の「SOSの出し方教育」及び教師対象の「SOSの受けとめ方研修」を実践する。現在,連携企業であるスタンドバイ株式会社と連携しながら,実践の準備を進めている。この実践を通じて,いじめ被害児童生徒の援助要請に焦点を当てた教師用「いじめ研修プログラム」の開発につなげたい。加えて,児童対象の健康観察アプリ「シャボテン」についても引き続き導入の効果を測定し,いじめ被害の援助要請行動を検討する。児童の援助要請の促進についても考えて行きたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍を経て学校現場におけるニーズ及びICTの環境が変化したために研究の方向性を変えた。
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Research Products
(2 results)