2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of multi-dimensional adaptation processes of personality traits
Project/Area Number |
20K03345
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小塩 真司 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60343654)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パーソナリティ / 発達 / 個人差 / 調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,縦断的な調査によって得られたセータセットから,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が生じる前と後との時点において,パーソナリティ特性の年齢に伴う平均値の変化に違いが生じるかどうかを検討した。COVID-19の感染拡大と,それに伴う社会的な状況は日本の人びとにおいても多くの影響をもたらしていると考えられる。分析に用いたのは,2018年と2020年に得られた2つのデータセットである。両調査ともに参加した6918名を分析の対象とした。年齢範囲は16歳から90歳,平均年齢は51.4歳であった。Big Fiveパーソナリティを検討対象とするため,Ten Item Personality Inventory (TIPI-J)のデータセットを分析の対象とした。各特性における2018年と2020年間の相関係数は,.66(協調性)から.76(外向性)の間であった。2年の間隔を空けた調査においても,Big Fiveパーソナリティ間には中程度以上の関連が認められた。また平均値の変化に注目すると,全体的にパンデミック前後で外向性,協調性,開放性,勤勉性は低下し,神経症傾向は上昇する傾向が見られた。また男性よりも女性において2年間に開放性は低下し,高齢層に比べて若年層は勤勉性の得点が2年間で低下する傾向が見られた。全体的にCOVID-19のパンデミック前後でネガティブな方向にパーソナリティ特性は変化していたが,年齢に伴う平均値の横断的な差については,パンデミック前後で同様のパターンを示していた。本検討は,新型コロナウイルス感染症という社会的状況のなかで,我々がいかに影響を受けたのかというひとつの示唆を与えるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,パーソナリティ特性を軸として,時間横断的メタ分析による時代差の検討,大規模なデータセットによる時間や年齢を軸においた検討を通して,パーソナリティ特性の適応過程の全体像を描くことを意図している。これまで,多くのデータセットが蓄積されている状態にあり,今後も継続的に研究成果が出てくる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られたデータセットに関しては,パーソナリティ特性の多面的な適応過程を明らかにするために順次分析をおこない,公表する予定である。また,最終年度に向けて,これまでの研究成果をまとめることで最終的な結論へと結びつけていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の拡大により,国内外の学会参加が困難となり,旅費に相当する部分において余剰が発生したため。2022年度においては,いくつかの学会が対面で行われる予定であることから,旅費の使用を計画している。また,追加で本研究にかかる調査を実施し,研究の推進のために使用する予定である。
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[Book] 非認知能力2021
Author(s)
小塩 真司ほか
Total Pages
320
Publisher
北大路書房
ISBN
978-4762831645
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