2022 Fiscal Year Research-status Report
協同的な推敲活動におけるピアの匿名性および識別性の効果に関する教育心理学的研究
Project/Area Number |
20K03356
|
Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
深谷 優子 國學院大學, 文学部, 教授 (00374877)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 洋子 千葉工業大学, 創造工学部, 助教 (70406651)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 協同 / 作文 / 筆名 / 読解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、5年の研究期間で1. ピアの匿名性および識別性の程度が書き手の推敲および思考態度に及ぼす影響の解明、2. 協同的な推敲活動において書き手にとって不安や懸念を低減する条件の特定、3. 1.および2.の成果を活用した書き手の不安・懸念を低減させる、より効果的な読解力育成および作文支援としての協同的な推敲活動のプログラムの開発、を目的とするものである。 第3年目にあたる令和4年度は、前年度に収集したデータ(協同的な推敲活動に際し、筆名の特定しやすさ(識別性)として任意の名詞(識別性高)/指定された数字(識別性低)とを設定し、ピアの匿名性および識別性の程度が書き手の推敲および思考態度に及ぼす影響の解明と、協同的な推敲活動において書き手にとって不安や懸念を低減する条件の特定を試み、その成果は雑誌論文として発表した(研究目的2)に該当)。具体的には、筆名でのピアレビュー方式での協同的な推敲活動に取り組んだ大学生54名を対象とした調査では、協同的な活動において筆名使用が好まれる実態が確認された。筆名の好みとしては、ある程度制約が設けられた範囲内で自分で決定した筆名を用いることを望んでおり、これは識別性(印象深さ)のある筆名を望むものの同時に匿名性もある程度保たれることを好むためと解釈された。 得られた知見に基づき、令和4年度は参加者がより安心して協同的な活動に十全に取り組める協同的な推敲活動プログラムの試案を作成し、その効果を検討するべく大学生を対象として調査した(研究目的3.に該当)。収集したデータについては、令和5年度に分析・発表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集、分析及び発表はおおむね計画通りに進められた。
|
Strategy for Future Research Activity |
書き手のネガティブな情動反応や構えである不安・懸念を低減するような協同推敲活動プログラム試案の改善を行う。令和4年度に実施した、試案の効果研究のデータ分析を行う。また、これまでの一連の研究で得られた知見および成果を整理し書き手の不安・懸念に関連する要因およびその低減のための要件・条件の特定をさらに進め、反映させた改訂プログラムを策定しその効果を検討する。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により対面学会参加及び調査が中止となっため、旅費相当分を繰り越すこととなった。次年度以降に学会参加及び調査を行う予定である。
|